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安全通貨の意味と取引ガイド:日本円が安全な投資先になる理由とは?

安全通貨の意味と取引ガイド:日本円が安全な投資先になる理由とは?

DailyFX, Research
原著者
DailyFXJapan, Research
翻訳者

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このページの内容
テキスト, 新聞, 冷蔵庫 が含まれている画像  自動的に生成された説明

安全通貨とは、不確実性が高まり市場が不安定なときにその価値を維持、または上昇させる傾向がある通貨のことです。英語では、「safe haven currency」と表します。安全通貨は債券や株式の動きとは相関関係があまりないため、市場が暴落した場合の取引に最適な選択肢の1つです。

本記事ではFX取引ができる安全通貨のペアを4つ取り上げ、それらが不況時にリスクを避けられる理由と取引方法を解説します。

安全通貨の意味とは?

安全通貨とは、経済的な不安や市場の混乱が起きたときに、投資家や企業が資産を安全に保つために頼る通貨のことを指します。この通貨は、その国の経済状況や金融政策、政治的安定性などが信頼されているため、リスクを避けたい場合に向かう「避難所」として機能し、株価の暴落や金利の変動、地政学的なリスクなど、さまざまな要因から投資家の資産を守る役割を果たします。

安全通貨の要素には通貨の流動性の高さだけではなく、発行国の経済状況や政治状況、経済成長、安定した財務なども含まれます。

とはいえ、これらの要素が安全通貨の指標として必ずしも完全に信頼に足るとは言えません。例えば日本円は、GDPに対する政府債務の割合が世界で最も高いなど財政状況があまりよくないにもかかわらず、資金の安全な避難先とみなされています。

安全な避難先としての通貨とみなされる要因の1つに、自国通貨が強くなりすぎるのを阻止するために政府が介入できることが挙げられます。例えば、スイス中央銀行は輸出を守るため、市場にあふれるほどのスイスフランを何度も供給しています。

日本円も同じような傾向がありました。世界的にリスク回避ムードが広がると、日本円は急騰する可能性が高くなります。輸出に頼っている日本にとって、円高は問題と言えます。輸出の競争力が弱まれば日本企業の収益が落ち、株価は下落する可能性があります。その結果、日本政府は「円売りドル買い」を行ったり、2016年のように円安を維持するためマイナス金利を導入したりしています。

取引に適した安全通貨ランキングトップ4

安全通貨には、日本円、スイスフラン、ユーロ米ドルが挙げられます。

米ドル (USD)ユーロ (EUR)日本円 (JPY)スイスフラン(CHF)
順位 (取引額)1位2位3位8位
世界取引全体に占める、その通貨を含む取引(%)*44.215.38.32.6
最も取引される通貨ペアユーロ/米ドルユーロ/米ドル米ドル/円米ドル/スイスフラン
平均取引額*6兆6,410億ドル2兆2,930億ドル1兆2,530億ドル3,900億ドル

出所:国際決済銀行(2022年)

*最終純利益ベース、2016年4月の1日当たりの平均

日本円(JPY)

日本円が安全通貨として認知されている理由は、世界一の債権大国としての位置づけや、経常収支の黒字などがあります。さらに、日本円のキャリートレードも人気があり、投資家は低金利の日本から円を借り、代わりに金利が高い国の通貨を買う投資手法がよく用いられます。日本円のキャリートレードは金融不安時に円相場を押し上げることがありますが、これは海外投機筋がリスクの高いポジションを解消して円の返済を選ぶことによるものです。

また、低いインフレ率も理由の1つです。インフレ率が低いということは、価値が長期間安定し、その結果として通貨価値の維持が可能となります。これにより、経済の不安定性が高まる時期でも、資産価値を保つ可能性が高くなります。

近年、円高になった例として、2008年の世界金融危機英ポンドと米ドルに対して日本円が急騰したことが挙げられます。さらに、英国のEU離脱(ブレグジット)を巡り不確実性が高まった2015年や、ロングターム・キャピタル・マネジメントの破綻危機が起きた1998年なども挙げられます。

米ドル(USD)

米ドルの安全避難先としての地位は、米国債への投資家の信頼によって保たれています。金融危機以来、市場の混乱時には投資家はリスクの高い資産を売り、米国債と米ドルに投資するのが一般的です。これは、多くの国々が石油取引など国際取引の主要な決済手段として米ドルを使用しているため、その安定性と流動性が保証されていることが理由の1つです。特に経済が不安定な時期では、その信頼性が投資家から高く評価されます。

しかし近年、米ドルより安全な避難先として「円」と「ユーロ」が選ばれることも出てきました。アナリストのなかには、不況時に米ドルが他の安全通貨より有意に大量に買われている証拠はほとんどないと異議を唱える者もいます。

ユーロ(EUR)

米ドルと同様、今日の状況においてユーロが安全通貨であるかどうかについて議論が持ち上がっています。ユーロは確かに、過去数年において安全な避難先とされてきました。EUの経済力を象徴する通貨であり、多くの国々との交易が行われていることから、一定の信認を得ています。2015年には、一部の欧州経済に対する明るい見通しから、アナリストたちはユーロに対して強気の見方を示してきました。さらに、欧州主要国の金利が低いことも安全通貨としてのユーロへの期待につながっています。

ただし、EU内の経済格差や政策統合の難しさ、さらにはブレグジットのような不確定要素がユーロの価値に影響を及ぼす可能性があります。また、2018年初めの米国株の急落後、期待されたユーロ買いラッシュは起こらず、日本円は買いを集めました。ユーロを選ぶ際には不確定要素を加味しつつ、安全通貨としての価値があるか判断しなければなりません。

スイスフラン(CHF)

スイスフランは、安定したスイス政府と強固な金融システムによって安全資産としての地位が保たれています。さらに、低いインフレ率と中央銀行であるスイス銀行への高い信頼性も安全資産の要因になっています。

スイスフランがその魅力を発揮した一例として、2011年に米ドルとユーロがスイスフランに流れ込んだときのことが挙げられます。投資家たちが米国と欧州の債務危機から避難先を求めてスイスフランの買いに走りました。対スイスフランで米ドルは、2011年初めの0.9400から7月までに0.7900に落ち込みました。つまり、1米ドルで買えるスイスフランは、たった0.79(スイスフラン)になりました。ユーロでは、2011年7月、対スイスフランで年初の1.3000前後からパリティ(為替レートが1対1)前後まで下落しました。

日本円と同様に、キャリートレードを行う機関投資家はファンディングコストのかからないスイスフラン建ての資金にレバレッジをかけて、ポジションが不利になった場合に返済することを好みます。

円安時でもなぜ日本円が安全通貨と見なされるのか

円安であっても日本円が安全通貨とされる背景には、日本の経済的・政治的な安定性、世界経済における重要な役割、そして円自体の特性が関係しています。

経済と政治の両面での安定

日本は世界の主要な経済国の一つで、高度に発展した産業構造と先進的な技術力を有しています。これらは、日本経済の長期的な安定を支える要素です。

また、日本は政治的にも安定しており、確固たる法的・制度的基盤が整っています。このような政治的安定は、経済的な不透明感がある時でも、国内外の投資家にとって信頼できる環境を提供します。

低金利の特性

低金利の日本円は、世界情勢が安定している時には魅力に欠けることがあります。なぜなら、比較的高金利の通貨、例えば米ドルやユーロに投資する方が利益が出やすいからです。

この状況では、投資家は低金利の通貨で資金を調達し、高金利の通貨で運用する「キャリートレード」を行います。これは、「日本の金融機関から円を借りて売り、高金利通貨を買って投資する」という流れになります。

デフレ状態の影響

デフレが続く日本では、物価が下落傾向にあります。これは別の観点から見ると、通貨価値が継続して上昇していることを意味します。つまり、通貨の価値が物価を通じて支えられており、緊急時でも安全な選択肢と見なされる理由です。

巨額の対外純資産

対外純資産とは、日本政府や日本の企業・個人が海外に持つ資産から外国に対する負債を差し引いたものです。緊急事態には、日本の投資家が海外資産を売却して円に換える傾向があり、これが円の需要を高める要因となります。

これらの理由から、円安の状況であっても、日本円は引き続き安全通貨としての地位を維持しています。経済的または政治的な不安が生じた際、投資家は安定した価値を持つ通貨として日本円を選ぶ傾向にあります。

安全通貨への投資タイミング

経済危機時は不確実性が増すため、安全通貨への投資タイミングが重要です。以下のような経済指標を注視するとよいでしょう。

  • 株価指数の大幅な下落:株価が大きく下落すると、投資家はリスク回避のために安全通貨へのシフトを始めます
  • 金利政策の変動:中央銀行が金利を引き下げると、その国の通貨価値は下がる傾向にあります。その結果、安定した安全通貨への需要が高まります
  • 政治的不安定:戦争や政変など、政治的な不安定性も安全通貨への移行を促します

これらの指標から、経済状況が不安定になったときが安全通貨への投資タイミングと言えます。ただし、通貨市場は非常に変動性が高いため、十分な情報収集と分析が必要です。

安全通貨への投資方法

安全通貨への投資において、主に以下の2つの手法を利用できます。

  • FX取引を行う
  • 安全通貨関連のETF(上場投資信託)を利用する

FX取引を行う

1つ目は、FX取引です。一定の通貨を売り、安全通貨を買う方法で、経済危機時に他の通貨が下落すると予想した場合に有効です。

FX取引を通じて安全通貨に投資する際の利点は、市場の変動に応じて迅速にポジションを調整できることです。不確実性が高まると、投資家はリスクを避けるために安全通貨へと資金を移動させる傾向にあります。FX市場は非常に流動性が高く、24時間取引が可能なため、世界中の経済状況に応じて素早く反応することができます。

FX取引においてはレバレッジを利用することで、少ない資本で大きな取引が可能ですが、これはリスクも同様に増大させるため、慎重なリスク管理が必要です。また、安全通貨への投資を行う際には、経済指標、政治的イベント、中央銀行の政策など、通貨価値に影響を与える要因を常に監視することが重要です。

FX取引を通じて安全通貨に投資することは、市場の不確実性に対応する効果的な方法の一つですが、市場の動きを正確に理解し、適切なリスク管理を行うことが成功の鍵となります。

安全通貨関連のETF(上場投資信託)を利用する

安全通貨への投資のもう一つの方法として、安全通貨関連のETF(上場投資信託)を利用することが挙げられます。ETFは、株式市場で取引される投資信託で、特定の指数や資産クラスに連動するように設計されています。安全通貨関連のETFは、その名の通り、スイスフラン、日本円、米ドルなどの安全通貨、またはそれらの通貨に投資する金融商品に焦点を当てたものです。

この方法の利点は、個別の通貨取引に比べてリスクが分散されることです。ETFは複数の資産を含むため、一つの通貨の価値が下落しても、他の資産のパフォーマンスが全体のリスクを軽減することがあります。また、ETFは株式と同様に取引所で取引されるため、通常の株式取引アカウントを通じて容易に購入・売却が可能です。

安全通貨関連のETFは、市場の不確実性が高まる中での避難先として機能することが期待されます。経済的または政治的な不安が高まると、これらの通貨の価値が上昇する傾向があり、それに伴い関連するETFの価値も上昇する可能性があります。

ただし、ETFを選択する際には、その構成資産、管理費用、パフォーマンス履歴などを慎重に評価することが重要です。また、通貨市場は政治的、経済的な要因によって大きく影響を受けるため、これらの要素を常に監視し、適切なタイミングでの投資判断が求められます。

FX取引とは異なり、ETFはより長期的な投資視点で安全通貨にアクセスする手段を提供します。市場の不確実性に対応するためのポートフォリオの一部として、安全通貨関連のETFを検討することは、多くの投資家にとって有効な選択肢となるでしょう。

安全通貨のリスクと注意点

安全通貨への投資は安全な投資とされますが、一方で通貨価値の変動リスクも存在します。通貨の価値は、国内外の経済情勢や政策、市場の需給バランスによって変動します。例えば、米ドルに投資した場合、米国の経済政策や金利の動き、また国際的な地政学的リスクなどが価値を左右します。米国の金利が上昇すれば米ドルの価値も上昇し、地政学的リスクが増大すれば米ドルの価値は減少する傾向があります。したがって、安全通貨への投資もリスクはゼロではなく、常に市場の動向を見極め、適切に投資判断をしなければなりません。

さらに安全通貨への投資は、財務知識と情報収集が重要です。通貨価値の変動を理解するためには、基本的な経済の概念(インフレ、デフレ、利息率など)に精通している必要があります。これらの知識なしには、投資先としての安全通貨の評価やリスク管理が難しくなるでしょう。

また、安全通貨は世界の経済状況や政策変更によって価値が大きく変動することがあります。そのため、日々の経済ニュースや専門の分析レポートをきちんとチェックし、タイムリーな投資判断を下すことが求められることに注意が必要です。

FX市場で安全通貨を取引する際のポイント

FX市場で安全通貨を取引する場合、市場で発生した出来事に対して通貨ごとに違った動きをすることに注意しましょう。また、どの通貨が安全な避難先であるかについて必ずしも確証を得られるわけではありません。

例えば、ノルウェークローネは、国の純債務がなく経常収支が黒字であることから安全通貨とみなす投資家がいる一方で、流動性の欠如とコモディティ通貨との高すぎる相関性を理由に最適とは言えないとする人もいます。

通貨を安全な避難先として利用するのと同じように、金(ゴールド)は過剰なリスクから身を守りたいトレーダーに人気のある資産です。金は価値貯蔵性や市場での実用性があること、そして価格が中央銀行の金利決定に影響されにくいことなどから安全避難先とみなされています。

安全通貨に投資する際にも情報収集とリスク管理が不可欠

安全通貨は市場の不安定さや経済の不確実性が高まる際に、価値を維持または上昇させる通貨で、日本円、米ドル、ユーロ、スイスフランが選択肢として挙げられます。これらの通貨は経済状況や政治的安定性に信頼され、資産を保護する「避難所」として機能するでしょう。ただし、安全通貨への投資タイミングは株価の急落、金利政策変動、政治的不安定性などに注目しなければなりません。

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