2024年は歴史的な選挙イヤーである。世界の人口の半分以上を擁する国々で選挙が実施予定である。特に、バイデン大統領とトランプ前大統領の戦いになると見られる米国大統領選挙は、金融市場にとっても大きなイベントになることが予想されるが、過去の大統領選挙が実施された年の株(S&P500、DAX、日経平均)、為替(USD/JPY、DXY指数)、商品(原油、金)の動向とは。
歴史的な選挙イヤー
2024年は各国で選挙が実施される。世界の人口の半分以上、40億人超を擁する76か国で選挙が行われる予定である。下表は主要な大統領選挙などの日程である。選挙の動向が金融市場に対して大きな影響を持つことが想定される。
特に11月に実施予定の米国大統領選挙の動向は、金融市場にとって、FRBの金融政策と同じ、もしくはそれ以上に重要なイベントとなる可能性がある。
現状は、現職のバイデン大統領(民主党)とトランプ前大統領(共和党)の戦いになると見られているが、3月5日の米大統領予備選挙「スーパーチューズデー」以降、金融市場において米国大統領選挙を巡る思惑が一段と重要になることを見込む。
主要選挙日程
資料:各種報道を基にDailyFXが作成。
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大統領選挙が金融市場に与える影響
米国大統領選挙が行われる年は、現職大統領、もしくは大統領が所属する政党が政権を維持することを目指して積極的な財政支出を行うことなどから、米国株が上昇しやすい傾向がある(「過去の相場から分かる株価が米国大統領選挙に与える影響」参照)。
世論調査によると、バイデン大統領とトランプ前大統領の支持率は拮抗している。トランプ前大統領以外の候補者が共和党の候補者になる可能性もあり、大統領選挙を巡る不透明感は高い。
バイデン大統領(緑)およびトランプ前大統領(青)の支持率
資料:Gallup
1984年以降に米大統領選挙は10回実施されたが、その内5回は現職の大統領が所属している政党が勝利している。残りの5回は、現職の大統領が所属している政党が負けている。
現職大統領の政党が勝利した5回の内、大統領選挙が実施された全ての年で米国株(S&P500指数)は上昇している。現職の大統領の政党が負けた5回の内、米国株は3回上昇している一方、2回は下落しており、まちまちである。
米大統領選挙が実施された年の金融資産のパフォーマンス
資料:Trading View、Trading EconomicsよりDailyFXが作成。DXYは米ドル指数。USDJPYはプラスの場合はドル高円安が進展。
では、米国株以外に与える影響はどうなのか。日経平均とドイツDAXも米国株と同様の傾向が確認できる。現職大統領が所属している政党が勝利した年は、上昇している傾向がある。米国株(S&P500)は、世界中の株式投資家が注目しているベンチマーク的存在である。そのため、米国株が上昇した場合、株式投資家のリスクセンチメントが改善する結果、ドイツや日本といった他の国の株式市場も上昇する傾向があると考えられる。
金、原油といった商品には、明確な傾向が確認できない。
為替では、米ドル指数(DXY指数)では明確な傾向が確認できないものの、現職与党が勝利した年は、ドル円は5回中4回、ドル高円安が進展している。2024年はFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに転じる一方、日銀はマイナス金利の解除を含む金融引き締めを実施することが見込まれており、ドル安円高が進展するとの見方が優勢である。
しかしながら、大統領選挙の結果からは、現職のバイデン大統領が勝利した場合、ドル高円安が進展する可能性を示唆している。
現職大統領が所属する政党が勝利/負けた年の金融資産のパフォーマンス
資料:Trading View、Trading EconomicsよりDailyFXが作成。DXYは米ドル指数。USDJPYはプラスの場合はドル高円安が進展。
もちろん、FRBの金融政策、日銀の金融政策、米国や中国の景気動向など、大統領選挙以外の様々な要因が金融市場に影響する。しかしながら、金融市場を揺るがすイベントの一つとして、大統領選挙の動向にも注視する必要がある。
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推薦者: 木全哲也
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著