- 「FXの通貨ペアってどんな種類があるの?」
- 「主要通貨ペアとクロス通貨ペアの違いって何?」
- 「通貨ペアの特徴が知りたい」
このような疑問や悩みはないでしょうか? 通貨ペアの知識は有利な取引を実現するための鍵になりますが、FXにはさまざまな通貨ペアがあることから難しく感じてしまう方も多いようです。
本記事では、クロス通貨ペアとはどのようなものなのか、そして取引戦略にどう役立つのかを学びましょう。
【関連記事】最も流動性の高いFX通貨ペアのトレード戦略とは? ユーロ/ドル、ドル/円、英ポンド/ドル
FXの通貨ペアとは?
FXの通貨ペアとは、取引を行う2カ国の通貨の組み合わせのこと。2つの通貨を組み合わせて通貨ペアが構成され、それを使って外国為替レートが提示されます。
これらのペアは、以下の8カ国の通貨を使用して作成されることがほとんどです。
FXは2つの異なる国の通貨を売買し、利益や損失が生じる取引であるため、ドルや円などを単体で買ったり売ったりするわけではなく、「ドル/円を買う(ドルを買って円を売る)」、「ドル/円を売る(ドルを売って円を買う)」というように、通貨をペアとして考えます。通常、通貨ペアは主要通貨ペアとクロス通貨ペアの2種類に分類されます。
クロス通貨ペアの仕組み
クロス通貨ペアとは、ドルを含まない通貨ペアのこと。例えば、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/ニュージーランドドルなどが挙げられます。
クロス通貨ペアの中でも、円が含まれる通貨ペアは「クロス円」と呼ばれます。ただし、ドル/円はドルと取引されることから、後述する主要通貨ペアの一つです。
クロス通貨ペアは、トレーダーが両替するプロセスを簡単にするために作られました。代表的な媒体であるドルに自分で変換する必要がなくなったことで取引が簡素化されただけでなく、トレーダーはドルのボラティリティを避けながら取引できるようになったのです。
しかし、クロス通貨ペアは取引量が少なかったり、国の経済状況が安定していなかったりすることがあり、主要通貨ペアと比べて値動きが激しい傾向があります。そのため、大きな利益を狙いやすいのですが、逆に大きな損失には注意が必要です。
なぜクロス通貨ペアと呼ばれるのか?
クロス通貨ペアの「クロス」という呼び方は、インターバンク市場での取引プロセスに由来します。例えば、ユーロ/円でユーロを買う場合、まず口座の円でドルを買う取引がされた後、このドルを売ってユーロを買う取引が発生します。
つまり、ドルを介して2つの取引がクロスするため、「クロス通貨ペア」と呼ばれるということです。
主要通貨ペアとは?
主要通貨ペアとは、8カ国(米国を除くと7カ国)の主要通貨のいずれかとドルを組み合わせたペアのこと。例えば、ドル/円やユーロ/ドル、ポンド/ドルなどが挙げられます。ドルが必ず入ることから、「ドルストレート」と呼ばれることもあります。
米国は世界経済の中心であり、ドルは世界中で使われる基軸通貨です。ドルは流通量、取引量ともに世界一であり、それが主要通貨と組み合わさることで、主要通貨ペアは値動きが安定している傾向があります。
値動きが安定している主要通貨ペアは、FX初心者でも取引しやすいのでお勧めです。
クロス通貨ペアを取引するメリット
クロス通貨ペアを取引するもう一つの大きな利点は、強いトレンド相場にあります。クロス通貨ペアの一例としてユーロ/豪ドルがあります。
2013年の取引で、ユーロ/豪ドルは安値から高値まで合計3,378pipsの値動きを記録しました。メジャー通貨であるユーロ/ドルの変動は848pipsだったので、ほぼ4倍もの動きです。
ユーロのクロス通貨ペアは、他にもユーロ/ポンド、ユーロ/円などがあります。
クロス通貨ペアは主要通貨ペアと比べてボラティリティが高い傾向があり、リスクに注意する必要があるものの、大きな利益が狙いやすいことは非常に魅力的です。
取引におすすめのクロス通貨ペアはユーロ/円
クロス通貨ペアにもたくさんの種類がありますが、初めに取引するクロス通貨ペアとしてはユーロ/円がお勧め。なぜなら、比較的トレンドが出やすいことから初心者でも値動きが予想しやすく、変則的な動きも少ないからです。
加えて、スプレッドが狭いため、取引コストの面でも優秀と言えます。ユーロ圏の情報は比較的入手しやすく、ファンダメンタルズ分析も行いやすいです。
円が含まれているクロス通貨ペアを取引する場合は、ユーロ/円をぜひ検討してみてください。
その他のクロス通貨ペアの特徴
ユーロ/円以外にも、クロス通貨ペアはまだまだたくさんあります。この項目では、人気のあるクロス通貨ペアの特徴をご紹介しましょう。
英ポンド/円(GBP/JPY)
ポンド/円はボラティリティが高いことで知られており、ハイリスクハイリターンという特徴があります。特に、短期売買をメインとするトレーダーの間で人気を誇ります。
また、英国は世界最大級の金融街を有し、金融や経済、政治的に世界から注目を集めている国であることから、ニュースも入手しやすいです。英ポンドは世界中で多く取引されており流動性が高いため、スプレッドが広がるケースも少なく、ポンド/円は取引しやすい通貨ペアと言えるでしょう。
スイスフラン/円(CHF/JPY)
スイスフラン/円は双方の通貨が共に安全通貨とみなされており、似たもの同士で比較的レンジ相場になりやすい通貨ペアです。スイスと日本は金利も低く、この点でも似ています。
ただし、スイスはEUに加盟していませんが、地理的に近いユーロ圏の影響を受けやすい面があります。スイスのニュースだけを見るのではなく、ユーロ圏の状況もチェックすると取引に役立つでしょう。
スワップポイントが低いことから長期保有にはあまり向いていませんが、デイトレードやスイングトレードでは十分魅力的な通貨ペアです。
豪ドル/円(AUD/JPY)
豪ドル/円はオーストラリアが世界でも有数の資源国であることから、資源価格が上昇すると上がりやすい傾向があります。加えて、オーストラリアの主な貿易先である中国の経済状況にも大きな影響を受けます。
また、オーストラリアの経済指標は日本時間の午前中に発表されるため、ポジションを保有している場合はこの時間帯に注意が必要です。午前中も値動きがあることから、午前中に取引したい方は豪ドル/円の取引を検討してみると良いでしょう。
カナダドル/円(CAD/JPY)
カナダドル/円は、カナダが地理的な関係で米国と経済的な結びつきが深いことから、米国の景気が良いと上昇しやすい傾向があります。また、カナダは原油や天然ガスなどが豊富なため、資源価格の動向にも影響を受けやすいです。
特に、原油価格と連動して推移しやすいと言われており、相関性の高いWTI原油価格は注目されています。ただし、スプレッドが少し広めであることが多く、取引コストを考えるとスキャルピングなどの短期売買より、スイングトレードがお勧めです。
初心者が注意すべきクロス通貨ペア2選
クロス通貨ペアの中には、FX初心者が注意すべき物もあります。
- メキシコペソ/円(MXN/JPY)
- トルコリラ/円(TRY/JPY)
取引する前に、それぞれの特徴について理解しておきましょう。
メキシコペソ/円(MXN/JPY)
メキシコペソ/円はスワップポイントが非常に高いことから、スワップポイントで毎日コツコツと利益を積み上げたい方に人気があります。メキシコは原油や天然ガスなどの資源が豊富なため、原油など資源価格の動向に影響を受けやすいのが大きな特徴です。
また、米国と国境を接していることから経済的な結びつきが強く、米国の景気の影響も受けやすいです。ボラティリティが高いことから、ネガティブ要因で急落するリスクがあるため、取引は慎重に行うと良いでしょう。
【関連記事】スワップポイントの詳細について、こちらの記事で解説しています。FXのスワップポイントとは?計算方法や注意点をやさしく解説!
トルコリラ/円(TRY/JPY)
トルコリラ/円はメキシコペソ/円と同じくスワップポイントが非常に高く、トルコの政策金利は2024年2月26日現在、なんと45%という高さです。一方で、金利の高さは激しいインフレへの対策でもあります。
また、トルコのエルドアン大統領は中央銀行の金融政策に対して強い影響力を持っているとされ、中央銀行の独立性が懸念されています。取引量が少なく、流動性が低いことから、トルコリラ/円には急落のリスクがあり、長期的にも右肩下がりであり、買うタイミングはしっかりと見極めることが必要です。
まとめ
クロス通貨ペアはボラティリティが高い傾向があり、大きな利益を狙うことができます。特に、ユーロ/円は取引しやすく、初心者にも扱いやすいクロス通貨ペアとしてお勧めです。
ポンド/円やスイスフラン/円、豪ドル/円など、他の人気のあるクロス通貨ペアを取引するのも良いでしょう。ただし、ボラティリティが高いとリスクも高くなるため、リスク管理はしっかりと行ってください。
次に取引システムを開くときは、メジャー通貨ペア以外の通貨ペアにもチャンスがあることを思い出し、クロス通貨をぜひ探してみてください。
クロス通貨ペアに関するよくある質問
最後に、クロス通貨ペアに関する知っておきたいことや注意しておきたいことをまとめてご紹介していきます。
- クロス円とは何ですか?考え方は?
- クロス円が上昇するということは何を意味しますか?
- ドル/円とクロス円には相関関係がありますか?
- クロス円の取引は難しいですか?
- 主要通貨ペア(ドルストレート)を一覧で教えてください
- 主要通貨ペア(ドルストレート)の取引は難しいですか?
- 主要通貨ペア(ドルストレート)の損益の計算方法は?
- 主要通貨ペア(ドルストレート)のチャートはどこで見られますか?
- FXの取引は主要通貨ペア(ドルストレート)のみで十分ですか?
1. クロス円とは何ですか?考え方は?
クロス円とは通貨ペアのうち、ドル以外の通貨と円のペアのことを言います。例えば、ユーロ/円やポンド/円、豪ドル/円などが挙げられます。
2. クロス円が上昇するということは何を意味しますか?
クロス円が上昇するということは、ユーロ/円や豪ドル/円などが上昇することを指します。クロス円が上昇する主な理由の一つは、日本円が他の通貨に対して弱くなることです。
例えば、マーケットのリスク選好度が高まると、安全資産と見なされる日本円が売られ、クロス円が上昇しやすくなります。
3. ドル円とクロス円には相関関係がありますか?
ドル/円とクロス円は時期によって異なるものの、相関関係があることで知られています。どちらも円が含まれていることから、円主導で相場が動いているときには相関関係が生まれやすくなります。
4. クロス円の取引は難しいですか?
クロス円を含むクロス通貨ペアはボラティリティが高い傾向があり、その分取引の難易度が上がります。そのため、最初はドル/円などの主要通貨ペアの取引から始めるのが良いでしょう。
5. 主要通貨ペア(ドルストレート)を一覧で教えてください
主要通貨ペアを一覧にすると、以下のようになります。
- 米ドル/円(USD/JPY)
- ユーロ/米ドル(EUR/USD)
- 英ポンド/米ドル(GBP/USD)
- 豪ドル/米ドル(AUD/USD)
- ニュージーランドドル/米ドル(NZD/USD)
- 米ドル/スイスフラン(USD/CHF)
- 米ドル/カナダドル(USD/CAD)
6. 主要通貨ペア(ドルストレート)の取引は難しいですか?
ドルストレートは値動きが安定しており、基本的には取引しやすい通貨ペアです。ただし、ドル/円やユーロ/ドルなどと比べ、豪ドル/米ドルやニュージーランドドル/米ドルなどはやや値動きの安定性に欠ける傾向があることから、少々難しく感じるかもしれません。
7. 主要通貨ペア(ドルストレート)の損益の計算方法は?
通貨ペアを構成する右側の通貨の円換算レートを乗じると、それが取引の損益になります。具体的な計算式は、「(売りの価格-買いの価格)×取引数量×ドル円の価格=損益」となります。
例えば、ユーロ/ドルを1万通貨1.17000で買い、1.18000で売って決済し、ドル/円の価格が100円だったとします。これを上記の式に当てはめると「(1.18000-1.17000)×1万通貨×100円=1万円」となります
8. 主要通貨ペア(ドルストレート)のチャートはどこで見られますか?
主要通貨ペアを含む通貨ペアのチャートは、リアルタイム為替レートで見ることができます。
9. FXの取引は主要通貨ペア(ドルストレート)のみで十分ですか?
主要通貨ペアは値動きが安定している傾向があり、最初は主要通貨ペアのみを取引するのも良いでしょう。ただし、クロス通貨ペアも取引することで大きな利益を得られたり、取引の機会が増えたりすることが期待できます。
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