第3四半期のビットコイン(BTC/USD)概要
ビットコイン価格は、市場の不確実性とボラティリティの低さによって、第3四半期も大きな上昇は見られなかった。ビットコインと暗号通貨市場全体は、時折見せた急上昇によって強気筋に若干の楽観的な見方を示したが、四半期の大半を通じて下落トレンドが続いた。グローバル市場もセンチメントや経済状況・経済予測のいずれかで常に変化が見られるため、同様に上昇の兆しが見られなかった。第3四半期の予測を振り返ると、議論された多くの問題が明確になっておらず、そのままの状態だ。第4四半期において、ビットコインに影響を与える可能性がある要因を解説していく。
本リポートでは、第4四半期のビットコインのファンダメンタルズ面を検証します。ファンダメンタルおよびテクニカルの見通しと、中期的にビットコインの見通しを形成するうえで極めて重要な要因についてより深く理解したい方は、DailyFXの第4四半期のトレードガイドをダウンロードしてください。一番の魅力?無料なところです!
規制上の問題とリップル(XRP)をめぐる訴訟
2023年に向けて暗号通貨トレーダーや関連企業は、特に米国における規制の明確化を望んでいた。この問題に関しては進展が見られたものの、ほとんど進んでおらず、先入観に基づく偏見が規制の実施を妨げ続けているようだ。
SEC(米国証券取引委員会)と米国全体は、訴訟に関して「政治的な魔女狩り」の可能性があると批判と疑いの目を向けられている。キャシー・ウッド氏などの著名な市場参加者やビットコイン投資家は、米国が暗号通貨の規制をめぐる競争に取り残されるのではないかと懸念を示しており、コインベースのブライアン・アームストロングCEOも同様の考えを示している。この状態は第3四半期を通じて続いており、一部の企業では米国で提供しているサービスを縮小させている。さらに、市場参加者にも影響を及ぼしており、暗号資産のアクティブな取引口座数の減少にもつながっている。また、デイトレーダーの取引活動が減少していることも、現在の市場における流動性の低さと取引量が少ない市場環境が関係しているはずだ。
リップル社とSECの間で続いている争いは、すぐには解決しないようだ。7月に地方裁判所のアナリサ・トーレス判事が、このトークンは必ずしも証券ではないと判決を下したことを受けて、暗号通貨市場はわずかに上昇している。
*以下のチャートは、裁判所の判決後にリップル価格が急上昇し、その後に利益が一掃されていることを示している。
リップル(XRP) 週足チャート
出所:TradingView、チャート作成:ザイン・バウダ
SECは当然ながら、「暗号資産取引プラットフォームを介したリップルのプログラムによる提供と販売は、投資家が利益の期待を想定したものではない」とする判決に異議を申し立てている。さらに、SECはアナリサ・トーレス判事に対して、まだ決定されていない中間控訴の認定を求めている。SECが暗号資産業界に対する取り締まりを続ける中、企業は米国から撤退すると警告しており、米国は暗号資産の市場競争に取り残される可能性に直面している。
ブラックロックなどのETF申請は10月に決定へ
2022年に大規模な事件が起きた後、暗号通貨業界にとって規制が真の解決策になるとの見方もあった。しかし、多くの市場参加者が米国政府の対応は過剰で行き過ぎていると見ているため、特に米国規制当局に対する信頼は低下し始めている。世界中の国や主要都市が規制を修正・調整し始めるにつれて、米国は暗号通貨業界のリーダーであるどころか、他の国から取り残されるリスクもある。米国規制当局が批判の嵐にさらされている理由は、暗号通貨に対して否定的な発言が続いている、さらにビットコインETFの申請を何度も却下しているからである。
前四半期には、ブラックロックによるビットコインETFについて解説したが、ウィズダムツリー、インベスコ・ギャラクシー、ワイズ・オリジン、ヴァンエック、ビットワイズ、ヴァルキリー・デジタル・アセットもETFを申請している。ブラックロックによるSECに対する申請の成功例を考慮すると、多くの暗号通貨トレーダーは世界最大の資産運用会社が成功することを期待していただろう。しかし、SECはすべてのビットコインETFに対する決定を10月に延期すると公表した。SECの対応によって、ビットコインは24時間で約4.1%下落した。ただし、第4四半期のビットコイン価格に関しては、ETF申請が成功した場合の期待が高まっている。
SECがデジタル資産、特にビットコインに対する監視の目を強める中、米国裁判所は興味深い見解を示している。ワシントンDCの上訴裁判所は、グレースケールのグレースケール・ビットコイン・トラストをETFに転換する申請に対して、SECが拒否する確かな根拠がないと主張した後、ビットコインETFの申請を拒否するSECの主張のいくつかは「理由や根拠がなく、一貫性がない」に見えると裁定した。
ブラックロックやその他のETF申請が承認されれば、機関投資家と個人投資家の両方からビットコインへの資金が流入し、ビットコインのエクスポージャーのために違法性がない手段を得られる可能性がある。そのため、暗号通貨トレーダーはETF申請に関する動向に注目している。さらに、最近の流動性の低い取引環境を考慮すると、ETFは米国の暗号通貨市場にとっても大きな変革となるかもしれない。
FRB(米連邦準備制度理事会)と流動性の低い取引環境
ビットコインは歴史的に見ても、極端なボラティリティ・流動性がある時期にパフォーマンスが優れていたが、2023年の大半で見られていない。現在のボラティリティを確認すると、VIX(恐怖指数)は13を下回り、2020年1月以来の最低水準で取引を終了している。さらに、VIXは123取引日連続で200日単純移動平均線を下回っており、2009年以来の最高値を記録した。
また、ボラティリティ指数とビットコイン価格の相関関係を見ると、ボラティリティの急上昇とビットコイン価格の上昇の間には、タイムラグが確認できる。第4四半期で、この状況が繰り返される場合には注目したい。
CBOEボラティリティ指数とビットコイン価格
出所:TradingView、チャート作成:ザイン・バウダ
第4四半期のボラティリティと流動性の両方に影響を及ぼす可能性がある要因の1つは、FRBが会合で長期にわたって金利を引き上げると言及したことだ。最新のFRBの見通しでは、2024年の利下げ幅はわずか0.5%であり、利下げを必要としないタカ派姿勢の実質的なメッセージが示された。米国経済は消費者の支出が増加し、雇用も増えていることから、引き続き堅調に推移しているが、今後は大きな変動が見られる可能性がある。米国経済が堅調に推移している理由として、アナリストはパンデミック以降に生じた貯蓄の増加と、学生ローンの債務返済の一時停止であると考えている。現在、学生ローンの債務返済は10月に再開される予定であり、家計の貯蓄が悪化するにつれて、米国経済は第4四半期に厳しい時期に直面する可能性がある。そのため、グローバル市場にマイナスの影響を与える可能性もあり、暗号通貨にも波及するかもしれない。
長期保有者はビットコインの半減期を前にポジションを構築し続ける
今後は、世界最大の暗号通貨を驚異的なペースで蓄積し続けているビットコインの長期保有者にも目を向けなければならない。ETFの承認と半減期が近づくにつれて、ビットコイン価格が年末に向けて上昇する可能性に長期保有者が注目していることは間違いないだろう。大半がポジションを保有していない可能性が高い短期保有者とは、対照的である。ボラティリティと流動性が減少し続けるにつれて、通常のFOMO(取り残されることへの恐怖)の買い手は少なくなっており、ビットコイン価格にとってはよい前兆ではないだろう。
*以下のチャートは、過去24ヶ月間において、FOMOの買い手の流入がビットコイン価格によい影響を与えていないことを示している。
出所:グラスノード
第4四半期には、ビットコイン価格に影響を与える多くの問題が発生する可能性が高い。さらに、市場全体と同様に、ビットコインは微妙な立場に置かれている。ETF申請が承認されれば、機関投資家を後押しし、来年の半減期に向けてビットコイン価格は押し上げられる可能性があるだろう。
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--- DailyFX.com ザイン・バウダ著
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