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ブラックフライデーと株式市場の関係について解説

ブラックフライデーと株式市場の関係について解説

DailyFX, Research
原著者
DailyFXJapan, Research
翻訳者

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このページの内容

※2024年5月31日更新

ブラックフライデー」という言葉は、もとは19世紀後半の米国の金融危機による株価暴落を指して使われていましたが、現代では米国の感謝祭の翌日、11月の第4金曜日に大々的に行われる割引セールを指すようになりました。時代とともにブラックフライデーの意味は変わりましたが、ブラックフライデーは今も株式市場の注目を集めるテーマとなっています。

米国ではブラックフライデーが小売業界の年末商戦の幕開けにあたり、1年で最も多い売り上げを見込みます。この時期の米国株は上昇しやすく、小売銘柄の動向にも関心が寄せられるうえ、その売り上げには同国の消費力の強さが反映されると考えられているので、米国景気の先行観測として毎年注目されています。もちろん、世界最大の経済国である米国の消費力は他国の景気動向にも影響を与えるため、ブラックフライデーの動向は非常に重要なデータになります。

この記事では、ブラックフライデーをテーマにした株取引について、ブラックフライデー前後に取引する際の注意点やブラックフライデーが株価に与える影響について、歴史を含めて解説します。

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ブラックフライデーの歴史

もともとブラックフライデーとは、1869年9月に起きた米国株式市場の大暴落を指します。当時のウォール街で投資家のジェイ・グールドとジェームズ・フィスクが金の買い占めを行ったことで、この金融危機が起こりました。

ブラックフライデーの日本語が「暗黒の金曜日」と表されるように、株価の大暴落を「ブラック」と「曜日」を組み合わせて呼ぶことがあります。1929年の世界恐慌の発端となったブラックサーズデーやブラックチューズデー、1987年のブラックマンデーなどがあります。

しかし、今日のブラックフライデーは、感謝祭の翌日に買い物客を店に呼び込むために生まれた大特価セールを指します。米国で始まったこのセールの歴史は1940年代まで遡りますが、この日に買い物をする人出の多さから渋滞や交通事故が多発し、警備を行う警察官の仕事が増えることから、この日をブラックフライデーと呼び始めたと言われています。

また、この日は従業員が休みがちになることから「ブラック」と暗い意味を含んで使われたとする説もありますが、その後、「ブラック」フライデーは小売業者がその年に「黒字」を出せるほどの売り上げ、つまり、その日だけで十分大きな利益を上げられるくらいの売り上げが期待できる日というポジティブな概念が加わり、今日に至ります。

1980年代になると小売業者がブラックフライデーを販売促進のためのマーケティングに利用し始め、この日は一大プロモーションイベントになりました。さらに2000年代に入ると、1年で最大のセールが行われる買い物の日として知れ渡り、人気が拡大しました。今やブラックフライデーは米国だけでなく20カ国以上に広がり、日本にもブラックフライデーのセールは浸透しつつあります。なお、日本で初めてブラックフライデーを実施したのは2014年、米玩具販売大手トイザラスの日本法人とされています。

今では、感謝祭の3日後の月曜日に行われるオンラインショップのセール日「サイバーマンデー」と併せて、これらの売り上げは米国の景気動向を測る指標として経済評論家やアナリストの間で特に注目されています。加えて、そのデータは株などの金融商品のパフォーマンスの予測にも使われていることからも、ブラックフライデーの消費動向は米国景気や株式市場への影響だけに留まっていないことがわかります。

ブラックフライデーの登場から長い年月を経て、この日の消費者の購買チャネルや小売業の構造も変化してきました。ネットが普及してからはオンライン経由の売り上げが大きく伸び、BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)のようにオンラインで注文して実店舗で商品を受け取ることで実店舗の売り上げを増やそうという仕組みや、SNSや口コミサイトなどをマーケティングに利用するなど、オンラインと店舗を融合したチャネル化も加速しています。

なお、中国ではブラックフライデーに先立つ11月11日の「独身の日」に巨大なセールが行われます。このセールは、2009年に中国企業のアリババグループがECサイト(オンラインショップ)で大規模な販促イベントを開催したのが始まりですが、その後、普及して百貨店やスーパーなどの実店舗で行われるようになりました。米国も、年末商戦がこの「独身の日」あたりから前倒しになる傾向が見られます。依然として米国ではブラックフライデーが最大の商戦日ですが、11月は米中の大国で大型商戦が過熱する月であるため、小売関連銘柄に注目が集まりやすくなります。

ブラックフライデーが経済や株価に与える影響

世界中に広がったブラックフライデーは、単なるマーケティングの仕掛けではありません。では、ブラックフライデーは世界経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか?まずは、ブラックフライデーの本場である米国の個人消費支出、経済、株式市場について見てみましょう。

(1)個人消費支出

あらゆる商品をお得に購入できるブラックフライデーでは、今や米国だけでなく多くの国でプロモーションが行われます。この巨大なセールが消費者の消費意欲に影響を与えることは間違いありません。過去には、このセール会場に買い物客が殺到して大混乱が生じた様子が報じられたこともありました。

2023年の米国のブラックフライデーでは、それまで以上に多くの人が買い物をしたとのデータもありますが、マスターカード社の調べによれば、2023年ブラックフライデーの小売売上高(自動車を除く)は2022年比で2.5%増にとどまり、この数字は過去12カ月のインフレ率3.2%に届きませんでした。インフレ率は2022年より低下したものの、同年のブラックフライデーの売上高が前年比12%増であったことを考慮すると、個人消費は大幅に減速したと言えます。

なお、店舗での売り上げが前年比1.1%増であったのに対して、オンライン経由の売り上げは大幅に伸び、前年比8.5%増となりました。マスターカード社は「人混みを避けて買い物をしたい」と考えた消費者の増加に加え、多くのスポーツイベントが金曜日に放送され、観戦をするために家に閉じこもった人たちがオンラインで買い物をしたことが原因だとしています。

別のデータによれば、オンラインショッピングのカートサイズ、つまり消費額は、店頭より3.9倍も大きくなっています。このような結果は、個人消費全体に占めるオンライン消費の割合が年々大きくなっているという小売業界のトレンドに沿っています。

アドビ・アナリティクスによれば、米国の2023年ブラックフライデー前後のオンライン消費は過去最高の98億ドル(前年は約91億ドル)を記録し、サイバーマンデーには124億ドルになりました。

(2)経済

ブラックフライデーが経済に与える影響については議論の余地があります。その一方で、ブラックフライデーの多額の消費支出によって市中に流通する資金が増え、経済活動が刺激されて景気を押し上げるという意見があります。他方では、経済が後退の兆しを見せているときの消費支出は歓迎されるものの、その影響はごくわずかで、効果は短期的であるという見方もあります。

後者の意見は、セール期間が終わって値引きがなくなると販売が低迷するという、これまでの経験則によるものです。とはいえ、小売店が値引きを続ければ利益率が低下することで従業員の削減につながりかねず、失業者の増加を招く可能性もあるでしょう。ひいては税収の減少や福祉の負担増加をもたらすとも考えられ、ブラックフライデーが経済に与えるこうしたマイナスの影響を懸念する専門家もいます。

(3)株式市場

ブラックフライデーが株式市場や個別銘柄に与える影響も、あまり単純ではありません。もちろん、売り上げが期待通りであれば、たいていの小売関連株は上昇すると予測できます。一方、予想に反して売り上げが振るわなければ、消費者心理の悪化や経済の弱さを示している可能性があるため、株価は下落する可能性が高くなります。

通常、取引する銘柄を選ぶ際には企業の収益性や全体的な財務状況を考慮するものですが、たとえその企業の売り上げが好調であっても、必ずしも収益性や財務状況が健全であるとは言えません。この時期の小売関連株は上昇する傾向がありますが、取引前には慎重にファンダメンタルズ分析を行う必要があります。

また、過去のブラックフライデーの株式市場を分析して、市場への影響を検証しましょう。次のブラックフライデー前後のトレンドの見通しや予測を立てるのに役立つはずです。

ブラックフライデーと株式市場:過去の株価推移

ブラックフライデーは1869年の壊滅的な株式市場暴落から始まりましたが、現代のブラックフライデーでは、その前後の期間に小売関連銘柄が高いリターンを上げるようになりました。こうした状況はS&P500(米国500種株価指数)にも見られ、ブルームバーグの10年間のデータによれば、ブラックフライデー当日と前後1週間を含む期間の平均リターンは3%に対し、小売関連銘柄のリターンは5%でした。

下のチャートは、S&P 500の小売関連銘柄の推移です。丸で囲んだ部分は2014年から2018年のブラックフライデー前後の期間で、この期間の小売関連銘柄は常に好調だったことがわかります。しかし、銘柄を選ぶ際には、同じ小売サブセクターの中であっても各銘柄の微妙な違いや、オンライン販売を主軸とする会社が実店舗に依存する小売関連銘柄のビジネスを奪う可能性、そして市場を動かす他のファンダメンタルズなどを考慮する必要があります。

グラフ, 折れ線グラフ  自動的に生成された説明

ブラックフライデーの小売関連銘柄パフォーマンス:各銘柄の株価をチェック

下の表では、2023年のブラックフライデー当日と前後1週間を含む期間の米国の主要小売関連銘柄の株価を一覧にしています。

2023年11月17日終値(ドル)2023年12月1日終値(ドル)増減率(%)
ウォルマート155.35154.34-0.7
アマゾン145.18147.03+1.3
コストコ・ホールセール577.15596.25+3.3
クローガー42.4444.60+5.1
アップル189.69191.24+0.8
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス21.2220.79-2.0
ターゲット129.89134.78+3.8
バーリントン・ストアーズ136.00174.06+28.0
ベスト・バイ68.2273.42+7.6
メイシーズ14.4417.13+18.6
ホーム・デポ307.27319.62+4.0
ロウズ・カンパニーズ203.70203.92+0.1

2023年ブラックフライデー前後の株価の動きで最も目を引くのは、28%の上昇を見せた高品質ブランド衣類を低価格で販売するバーリントン・ストアーズです。バーリントンのようなオフプライス小売店は、ブラックフライデーだけでなく、普段から各社全般、客数が増えて売り上げが増加しており、消費者がお得な商品を求める傾向が強まっていることが顕著になっています。株価はブラックフライデー前後の大きな上昇後も、翌年3月末まで上昇基調が続きました。

また、この期間に株価が7.6%上昇したベスト・バイも、普段からオフプライスの低価格が売りの家電量販店です。米国最大の売り上げを誇るこの家電販売チェーンはブラックフライデーも毎年堅調な売り上げを上げていますが、2023年のブラックフライデーも例外ではありませんでした。消費者の移動データを分析するプレイサーエーアイ社によれば、2023年のブラックフライデーにベスト・バイを訪れた客数は、年初からそれまでの1日平均客数に対して688.2%増とダントツでした。

なお、このブラックフライデーの客数調査では、ベスト・バイの次点は米国を代表する百貨店チェーンのメイシーズで458.5%増でした。メイシーズのこの期間の株価も18.6%と大きく上昇しています。百貨店は構造的に不振に陥っていましたが、メイシーズは低価格アパレル市場を狙ったオフプライスストア業態を2016年から展開しています。

米国のインフレは前年の水準よりは収まりつつあるものの、金利は高止まりしたまま、経済の不透明感から人々は消費に慎重になり、ウォルマートのような大手小売業者は2023年のホリデーシーズンに売り上げが低迷すると予測されていました。その結果、ウォルマートの株価は、小売関連銘柄が上昇することが多い期間にも関わらず、0.7%とわずかながら下落しました。

ブラックフライデーに株式を取引する際の注意点

ブラックフライデーに株取引をする場合、株式市場の状況やセールを牽引する小売業者について把握する他に、以下のポイントに注意が必要です。

  1. 株式市場の流動性祝日前後は市場の流動性が大きく変化する場合があり、ブラックフライデーも例外ではありません。市場参加者の数が減り、流動性が低下することで値動きが激しくなり、ストップロス(逆指値注文)が発動されやすくなります。つまり、ポジションが自動的に決済されてしまう可能性が高まるのです。
  2. ファンダメンタルズ要因:ファンダメンタルズは、今後の個人消費の動向について手がかりを与えてくれます。例えば、ガソリン価格の低下や雇用統計の堅調さは、消費意欲の高まりや企業の売上予想達成を予測させるかもしれません。また、特定の小売関連銘柄の取引を検討する際にもファンダメンタルズ分析は不可欠です。貿易戦争や世界経済の成長懸念による株式市場の下落など、市場全体に影響を与え、消費者心理に影を落とす可能性のある要因に注意が必要です。
  3. オンラインショップと実店舗の売り上げ:近年では、実店舗を持つ小売業者がオンライン販売の競合他社に押され気味です。総売上高においても、ブラックフライデーがサイバーマンデーに王座を奪われる日もそう遠くない可能性があります。こうした状況を考慮すると、アマゾンやベストバイのようなオンライン販売企業に注目する価値はあるでしょう。
  4. 1月の決算発表:1月に決算発表を行う企業が多く、それまでは企業の業績の全容が明らかにならない点にも留意する必要があります。

ブラックフライデーの米国株式市場の立会時間

ブラックフライデーの米国株式市場は、開場は通常通り米国東部時間午前9時30分(日本時間午後11時30分)ですが、閉場は午後1時(日本時間翌午前3時)と通常より3時間早まります。なお、サンクスギビングデー(感謝祭の祝日)は休場しています。

まとめ

本記事では、ブラックフライデーをテーマにした株取引について説明しました。最後に、ブラックフライデーに対して起こりつつある社会的風潮について触れておきましょう。

近年、地球環境への影響や生活価値観の見直しなどを理由に、過剰消費をあおるブラックフライデーに反対する動きが見られています。ブラックフライデーを支持しない各企業は売り上げを寄付したり、リサイクルを促進したり、サステナブルな製品を販売したりといった取り組みを積極的に行っていることが多く、こういった「反ブラックフライデー」企業への関心が消費者の間で今後さらに高まる可能性が考えられます。

とはいえ、ブラックフライデーが依然として世界中の多くの地域で大セールが行われる買い物の日として親しまれ、多額の個人消費を促しているのは確かな事実です。この時期の株式市場は、他セクターよりもリターンの大きい小売関連銘柄の取引を検討してみてください。取引前にはしっかりと相場分析を行い、リスク管理を怠らず、最大の利益を目指しましょう。

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