※2024年3月19日10時58分更新
日銀はきょうの政策決定会合でマイナス金利を解除し、17年ぶりに利上げに踏み切ると見られている。マイナス金利を解除すれば、円相場は動き、短期的な方向性が決まる可能性がある。ドル/円の見通しとは?
【必読】3月15日付レポート「ドル/円見通し:日銀の利上げ観測高まる、日本の賃金上昇率が30年ぶりの高水準」
きょうマイナス金利解除へ
植田和男総裁率いる日銀は18日から金融政策決定会合を開催し、きょうの会合で金融政策の決定を発表する。市場では事前の観測報道を受け、マイナス金利を撤廃し、基準金利をマイナス0.1%から0.0%に引き上げると見られている。予想通りなら、2007年2月以来17ぶりの利上げとなり、長きにわたる日銀の大規模金融緩和政策の大きなターニングポイントとなる。
日銀はまた、2016年に開始した長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)も撤廃すると見られている。YCC政策下で日銀は国債を大量に購入してきた。さらに日銀は、15年近く前から始まった株式上場投資信託(ETF)やその他のリスク資産の買い入れも停止すると見込まれている。
景気刺激策撤廃への動きは、連合が発表した春闘の結果を受けた流れとも言われている。連合傘下771組合の平均賃上げ率は5.28%となり、5%を超えるのは実に33年ぶりとなる。政策立案者は、内需主導による持続可能な物価上昇を生み出す好循環を生み出すには、力強い賃金上昇が必要だと繰り返し指摘してきた。
市場の関心は今後の利上げ経路
きょう発表される政策修正はほぼ織り込み済みなため、関心はその後の利上げの行方に移っている。市場の反応を見極めるためにも、トレーダーは午後に予定されている植田総裁の記者会見に注目すべきだろう。緩和政策修正ペースの遅さが目立ったり、あるいは将来の利上げは慎重に行うと日銀が示唆した場合、失望した強気派がロングポジションを巻き戻し、円安が進む可能性が高い。しかし、仮にこのようなシナリオとなった場合でも、目先の円相場に対して悲観はしていない。
逆に、日銀が予想に反してタカ派的な見通しを示した場合、円は力強く上昇する可能性がある。この場合、ドル/円、英ポンド/円、ユーロ/円などの通貨ペアは急落のリスクがある。ただ、日銀の主要幹部は非常に緩やかな正常化プロセスを支持しているため、このシナリオが実現する可能性は低い。
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変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 9% | -2% | 0% |
週次 | 18% | 2% | 5% |
ドル/円見通し - テクニカル分析
18日のニューヨーク外国為替市場でドル/円は上昇に転じ、149.00を上抜けした。今後の取引で上昇が加速する場合、149.70がレジスタンスとなろう。さらなる上昇局面では、150.85、そして152.00が意識されるだろう。
一方、戻り売りが優勢となり149.00/148.90を割り込むと、焦点は50日単純移動平均線に移る。同移動線を下回ると、147.50、そして200日単純移動平均線が位置する146.50を維持できるかに注目が集まるだろう。
ドル/円 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com マーケットストラテジスト ディエゴ・コルマン著
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