FOMCの翌日に英中銀が金融政策決定会合の結果を公表する。米英の金融政策決定会合を控えた英ポンドの対ドル、対円での見通しとは
サマリー
英中銀、金融政策決定会合
11月1日のFOMC(米連邦公開市場委員会)に続き、BOE(英中銀)が金融政策決定会合の結果を2日に公表する。金融市場では、今回の会合での政策金利据え置きが予想されており、英中銀の利上げサイクルは終了したとの見方が優勢である。
資料:BloombergよりDaily FXが作成。
インフレ高止まりに苦しんでいる英国でも、基調的なインフレ圧力を示すコアインフレも鈍化の兆しがようやく見え始めている。
資料:Trading EconomicsよりDaily FXが作成。
また、英国の景気減速懸念が強まっている。景気の先行指標である購買担当者景気指数(PMI)は、製造業・サービス業ともに、好不況の分かれ目である50を下回っている。インフレ鎮静化の兆しに加え、今までの積極的な利上げを受けて景気後退懸念が強まる中、英中銀は市場予想通り政策金利を据え置き、追加利上げを強く示唆することはないと見込む。金融政策決定会合で追加利上げを強く示唆しない限り、英ポンド相場に与える影響は限定的であろう。
資料:BloombergよりDaily FXが作成。
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英ポンド/米ドルの見通し
英ポンド/米ドルは、日足チャートで、3月から7月のGBPUSDの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6%水準1.209ドルがサポートとして機能している。一方、フィボナッチ61.8%水準1.231ドルがレジスタンスとして機能しており、レンジ相場が続いている。
予想通り英中銀が政策金利を据え置いた場合や、FOMCにて追加利上げが強く示唆されなかった場合、現在の1.209ドル~1.231ドルのレンジ相場の継続が見込む。
FOMCにてFRB(米連邦準備制度理事会)が追加利上げを強く示唆した場合、1.209ドルのレンジ下限をブレイクしよう。その場合、英ポンド安米ドル高トレンドへの転換が視野に入る。
英ポンド/米ドル(GBPUSD)日足チャート
資料:Trading Viewより作成
英ポンド/日本円の見通し
英ポンド円は、8月22日から10月3日にかけての値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント61.8%水準183.43円を上方ブレイクした。RSIも50超えに転換し、英ポンド円に対して強気(英ポンド高円安)モメンタムである。
英ポンド円の動向はドル円の動向に強く影響を受ける。ドル円が151円台に上昇する中、日本政府による為替介入への警戒感が強まっており、上値が重くなっている。実際に為替介入が実施された場合、ドル円の下落を通じて英ポンド円の下落圧力になろう。
また、英中銀が追加利上げを強く示唆する可能性は低く、金融政策決定会合にて英ポンド高圧力が強まる可能性は低い。
テクニカル面では強気シグナルが点灯しているものの、ドル円の動向や英中銀の金融政策決定会合のシナリオを想定すると、英ポンド円は上下双方に動く展開を想定したい。
英ポンド円が上昇した局面では、フィボナッチ78.6%水準184.90円への上昇が視野に入る。一方、英ポンド円が下落した局面では、フィボナッチ61.8%水準183.43円がサポート転換しているかに注目したい。下方ブレイクした場合、英ポンド円のテクニカル面での強気シグナルが解消される可能性がある。
英ポンド/日本円(GBPJPY)の日足チャート
資料:Trading View
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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著