10月は中東情勢の緊迫化などを背景に、投資家のリスクマインドが悪化する中、リスクオン通貨であるカナダドルは多くの通貨に対して下落した。このような中、カナダドルの対米ドル、対円での11月の見通しとは
トレードの基礎知識
マクロ経済ファンダメンタルズ
推薦者： 木全哲也
サマリー
10月のカナダドル相場
中東情勢が緊迫化する中、投資家のリスクセンチメントが悪化した。米国では、マッカーシー前下院議長の解任に伴い、政治的不透明感が高まった。また、米国長期金利は、2007年以来の5％台まで一時上昇した。
投資家マインドが悪化する中、カナダドルは、メキシコペソ、ニュージーランドドルなどの一部の資源国通貨、リスクオン通貨を除く多くの通貨に対して下落した。カナダの主要産品である原油価格が月間では下落したことも、カナダドル安圧力となった。
資料：Trading Economics。対米ドルパフォーマンス。DXYは米ドルインデックス。
カナダ中銀は、10月の金融政策決定会合にて、政策金利を据え置いたものの、追加利上げの可能性を残した。しかしながら、金融市場では、追加利上げが予想されておらず、利上げサイクルが終了したとの見方が優勢になっている。
資料：BloombergよりDaily FXが作成。
11月のカナダドル相場は、中東情勢、金融政策、米国金利、そして原油価格の影響を強く受けよう。原油価格は、中東情勢、世界景気に加え、11月26日開催予定のOPECプラス会合に注目である。ロシアとサウジが年末まで実施予定の原油の供給制限策の今後について、何かしらの方向性が示される可能性がある。このような中、カナダドルの対米ドル、対円での11月の見通しとは。詳しく見てみたい。
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米ドル/カナダドルの見通し
USDCADは、週足チャートで、2023年３月6日の週から7月10日の週にかけての値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6％水準1.370米ドルを上方ブレイクしており、米ドル高カナダドル安トレンドが一段と鮮明になっている。
テクニカル面で米ドルに強気（カナダドルに弱気）シグナルが点灯している中、USDCADが一段と上昇（米ドル安カナダドル高）することを見込む。2022年10月10日の週の高値1.398米ドルへの上昇が視野に入る。
ただし、ＯＰＥＣプラスにて更なる原油供給制限策が示された場合や、中東情勢の緊迫化に伴い原油供給が減少するとの見方が強まり、原油価格が上昇した局面では、フィボナッチ78.6％水準1.370米ドルを下方ブレイクできるかに注目。サポートされブレイクに失敗した場合、米ドル高カナダドル安圧力が強いことを投資家に印象付けよう。
USDCAD週足チャート
資料：Trading View
カナダドル円の見通し
CADJPYは、週足チャートで、「宵の明星」パターンが示現後、カナダドル安円高が進行している。また、MACDラインがシグナルラインを下抜け、カナダドルに弱気の「デッドクロス」が示現している。
テクニカル面の弱気シグナルに加え、中東情勢や米国金利の高止まりなどを背景に投資家のリスクセンチメントが悪化している中、更なるカナダドル安円高を見込む。3月20日の週から9月25日の週にかけてのフィボナッチリトレースメント23.6％水準107.13円でサポートされるかに注目。下方ブレイクすると、カナダドル円の3月からの上昇トレンドが終了し、下落トレンドに転換したことが一段と鮮明になる。その場合、フィボナッチ38.2％水準104.64円への下落が視野に入る。
一方、カナダドル円が上昇した局面では、110.52円が引き続きレジスタンスとして機能するかに注目。カナダドル円が上方ブレイクに失敗した場合、カナダドル円の上値が重いことを投資家に印象付けよう。
ＣＡＤJPY週足チャート
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資料：Trading View
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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
