米国株指数は史上最高値を更新しており、2024年第2四半期も強気が継続すると予測される。本記事では、2024年第2四半期に向けたS&P500、ナスダック100、NYダウ平均株価のテクニカル分析による見通しをデイリーFXのストラテジスト リチャード・スノーが解説する。
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S&P500(米国500種株価指数)
S&P500種指数は2024年に向かって驚異的なスタートを切り、すでに年初来10%を超えるリターンを記録した。このベンチマーク指数の驚異的な上昇は、金利上昇や成長率低下、そして景気後退について何度も警鐘が鳴らされる中、衰えることなく続いている。値動きの特徴としては、強気派のセンチメントを抑止できず、ごく浅い調整が数回あった以外には明確なプルバック(反落)がないことである。
この強気トレンドの反転や衰えを示唆する材料はテクニカル的に見てもほとんどないまま、第2四半期を迎える。小幅な上昇チャネルが一方向への動きを示しており、値動きはどの水準もほぼ試すことなく右肩上がりで上昇している。S&P500種指数は他の指数と同様に、第1四半期に史上最高値を複数回にわたって更新した。したがって、この指数が新たな軌道を描く場合、それを遮るような水準はまだない。
参考にするポイントがないことはテクニカル分析を難しくさせ、2022年の大幅下落に当てはめたフィボナッチ161.8%の水準5,640が上昇の可能性を示す重要な水準となる。基本的に価格は2022年の下落を克服しており、2022年初めの価格を基準とした場合に、その1.5倍以上、上昇する可能性がある。
一方、下落の可能性はもう少し予測しやすい。浅いプルバックは水平線が引ける短期間の水準を示し、潜在的な下降線を示唆している。まだ十分なプルバックが生じていないため、5,057と4,918の水準では弱気派が自信をつけ始め、強気派は買いを減らす可能性があり、注意すべき領域である。そうなると、4,818(過去の最高値)が次のサポート水準となるだろう。
この勢いを第2四半期も維持するとは考えにくく、おそらく米国株は減速して、その軌道はより緩やかな上昇となると見ている。
S&P500(米国500種株価指数) 週足チャート
出所:Tradingview、チャート作成:リチャード・スノー
ナスダック100(米国テク株100種株価指数)
ナスダック100指数も第1四半期は好調に推移し、本レポート執筆時点で8.88%上昇している(以下チャートのピンク色の点線)。以下に示す巨大ハイテク7銘柄(マグニフィセントセブン)は、過去にも大きくアウトパフォームしているが、エヌビディア(Nvidia)の株価は第1四半期だけで80%近い上昇を見せ、他を大きく突き放している。メタ(Meta)も2024年に入り、およそ40%の上昇を遂げている。
一方で、厳しい状況にある銘柄もある。例えば、中国での売り上げが減少しているテスラ(Tesla)や、多数の訴訟を抱えるアップル(Apple)などである。
ナスダック100(ピンク色の線)と巨大ハイテク7銘柄の株価パフォーマンス(年初来推移)
出所:Refinitiv Datastream、チャート作成:リチャード・スノー
ハイテク株が高い割合を占めるナスダック指数も、2024年は史上最高値を更新しているが、ここ数週間はS&P500指数ほどの強気相場ではないように見える。18,460付近の高値に二度接近してはいるが、これを上抜ける勢いはない。弱気シグナルにはほど遠いが、週足のローソク足チャートでは、この指数が上昇の余地を示すには、また別の相場押し上げ要因が必要かもしれない。
S&P500指数と同じようにフィボナッチ161.8%の水準を当てはめると、ここまでの上昇はやや困難に見える。もし、強気トレンドが第1四半期と同様に続けば、第2四半期のリスクリワード比率はポジティブなものになるだろう。
史上最高値に到達するためには不確実性が多く、適切な上値の水準を見つけることが難しい。プルバックも浅いものであり、最近の値動き以外には、現在の強気トレンドがすぐに圧力にさらされる可能性を示唆するものはほとんどないと言える。
とはいえ、弱気な動きや利益確定売りが広がった場合には、17,764が、16,764に向かって下降する深い反落への最初の地点となる。そして、16,764を下回る動きが続くようであれば、強気トレンドの長期化の可能性については考え直すべきだろう。
ナスダック100(米国テク株100種株価指数) 週足チャート
出所:Tradingview、チャート作成:リチャード・スノー
NYダウ(ダウ平均株価)
ダウ平均株価は米国経済を代表する大型優良株30銘柄のみで構成され、これまで分析してきた他の指数の中でおそらく最も好調に第1四半期を終えた。この指数は時価総額加重型ではなく価格加重型であるため、株価の変動が大きければ大きいほど、時価総額で見た実際の企業規模よりも大きく影響を及ぼす。
ダウ平均株価は2023年後半の数カ月の方が第1四半期より上昇している。これは第2四半期にはさらに上昇の勢いが衰える可能性を示唆するが、いずれにしても上昇トレンドにあることに変わりはない。
フィボナッチ161.8%の水準は42,000の少し上に位置し、史上最高値である36,952ドルの目標値からはやや遠い。
NYダウ(ダウ平均株価) 週足チャート
出所:Tradingview、チャート作成:リチャード・スノー
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