※2024年6月19日更新
ローソク足が表す状況やシグナルを理解するために覚えておくべきなのが、ローソク足の種類。株やFXなど様々な市場を分析する際に活用できます。本記事では、ローソク足の基本パターン9種類と複数のローソク足を組み合わせたパターン7種類の全16種類について、プロが解説します。
ローソク足とは?
- ローソク足は、通貨ペア等の値動きについて多くの情報を提供し、取引戦略に役立てられます
- ローソク足チャートを使えるようになれば、他の市場の分析にも応用できます
テクニカル分析をおこなうトレーダーにとって、チャートほど重要なものはありません。多くのチャートは、ローソク足チャートが初期設定となっており、従来のバーチャートや特殊な練行足チャートとは大きく異なります。ローソク足チャートは、トレーダーに価格の動きを認識させ、それにもとづいてトレンドについての意見を形成し、エントリーなどを決定することが可能となります。
トレーダーはローソク足と、それが示唆する内容に精通しているべきでしょう。ローソク足の分析方法を習得すれば、他のチャートを使用するより、はるかに効率的にさまざまな種類のプライスアクションを特定できるようになります。また、同じスキルをすべての金融マーケットのローソク足チャートへ適用できる点も優れています。
ローソク足は3つの部分で形成される
ローソク足の作成には、始値、終値、ヒゲの3つが使用されます。読み方は始値(はじめね)、終値(おわりね)です。
終値が始値よりも高い場合、ローソク足は緑/青で表示されます(ただし、チャートの設定により異なります)。終値が始値よりも低い場合は、ローソク足は赤で表示されます。
日足に設定したチャートでは、1本のローソクは1日を表し、始値はその日取引された最初の価格で、終値はその日取引された最後の価格です。
- 始値(はじめね):新しいローソク足の形成期間中における、最初に取引された価格
- 高値(たかね):上ヒゲの先端。上ヒゲ(うわひげ、上影、うわかげ)がないときは、高値は陰線の始値または陽線の終値
- 安値(やすね):下ヒゲの先端。下ヒゲ(したひげ、下影、したかげ)がないときは、安値は陽線の始値または陰線の終値
- 終値(おわりね):ローソク足の形成期間中における、最後に取引された価格
トレーダーがローソク足チャートを使用する理由
ローソク足チャートは従来のチャートより視覚的であるため、トレーダーの間で最も人気があります。ローソク足チャートはバーチャートやラインチャートなどの他のチャートと比べ、ある期間における始値と終値をより明確に示しています。
ローソク足チャートには、いくつかの利点があります。
- 価格の動きが、他のチャートよりも容易に把握できる
- ローソク足チャート上では、チャートパターンやプライスアクションの特定が容易
- ローソク足チャートでは、ラインチャートよりも価格について多くの情報(始値、終値、高値、安値)を提供している
しかし、ローソク足チャートにも欠点があります。
- 初心者のトレーダーにとっては、陰線や陽線は相場が前のローソク足と同じ方向に動き続けるという誤解を与えることがある
- ローソク足チャートは、ラインチャートやバーチャートほど単純ではないため、画面が複雑になる
初心者でも分かるローソク足の見方
ローソク足には多くのデータが詰まっているため、上手く使うにはローソク足の見方を知っておく必要があります。とはいえ、ローソク足の見方は以下の3点を理解するだけで大丈夫です。
- 陽線と陰線
- 四本値
- 実体とヒゲ
以下で順に解説させていただきます。
陽線と陰線
始値より終値のほうが高いローソク足を「陽線」、逆に始値より終値の方が低いローソク足は「陰線」と呼びます。陽線は白/緑/青、陰線は黒/赤で表されるのが世界的な標準と言えますが、チャートによっては真逆になることもあるため注意してください。
陽線とは始値よりも終値が高いローソク足であり、終値がローソク足の上部に来ます。一方、陰線は始値よりも終値が低いローソク足であるため、始値がローソク足の上部に来ます。
まず陽線か陰線かを判断し、それから始値と終値がローソク足の上下どちらに表示されるかを考えるとよいでしょう。高値と安値の位置は、陽線と陰線のどちらも同じになります。
陽線と陰線を区別できるようになると、一目で価格が最終的に上昇したのか下落したのか分かるようになります。そのため、その期間は買い方が優勢だったのか、売り方が優勢だったのかがすぐに読み取れるのです。
四本値
前述した通り、ローソク足は1本で一定期間(1分・1時間・1日・1週・1か月など)の始値、終値、高値、安値の4つの価格を表します。この4つの価格は「四本値」と呼ばれています。
要するに、ローソク足は四本値を使って作られているのです。もっと言えば、四本値さえ分かっていればあなたもローソク足を作ることができます。四本値の中でも、特に終値はローソク足が確定(完成)する価格であるため、ローソク足を分析する上でよく注目されます。
例えば、移動平均線などのテクニカル指標も終値を使って計算される場合が多いです。したがって、分かりやすい高値や安値だけでなく、終値もしっかりと判断できるようにしておいてください。
実体とヒゲ
ローソク足の始値から終値までの四角い部分(箱のような部分)を「実体(胴体)」、実体から伸びた高値や安値の線を「ヒゲ(影)」と呼びます。また、ヒゲは実体から上に突き出た線の部分を「上ヒゲ」、逆に実体から下に突き出た線の部分を「下ヒゲ」と呼びます。つまり、上ヒゲの先端は高値、下ヒゲの先端は安値です。
イメージしやすいように実際のろうそくで例えると、ろう=実体、芯=ヒゲになります。またローソク足が確定する前は、始値と現在値が実体になります。ローソク足が確定する前の上ヒゲと下ヒゲは現在の高値と安値となり、時間の経過で変わる可能性もあります。
価格が大きく変動すればローソク足は長く伸び、小さな変動であれば短いローソク足が形成されます。ローソク足の形から値動きの推移を把握できるようにしましょう。
ローソク足の基本パターン9種類を一覧で解説
ローソク足には多くのパターンがありますが、知っておくべき基本パターンは9種類です。9種類というと多く感じるかもしれませんが、暗記しなければいけないわけではありません。
- 大陽線
- 大陰線
- 小陽線
- 小陰線
- 上影陽線
- 上影陰線
- 下影陽線
- 下影陰線
- 十字線
ローソク足がどのような状況を表しているのか、しっかりと判断できるようになりましょう。
1.【上昇サイン】大陽線
大陽線とは、実体部分が周囲のローソク足に比べ、明らかに大きいチャート上で目立つ陽線のことを言います。実体部分の大きさに関しては、「始値から終値までの値幅が何銭以上」といった基準があるわけではなく、トレーダーの主観によります。
大陽線は、始値から大幅に上昇していることから買いの勢いが続くことを示し、下げ相場の安値圏で見られた時は、下降トレンドから上昇トレンドへの転換のサインにもなるローソク足です。
大陽線は上昇が継続しているような場面で現れやすく、普段の動きと比べて大きく値を上げていることから、相場が強気で買いの勢いがある状況だと判断できます。実体が長ければ長いほど、エネルギーが強く、先高感も強いことが示唆されます。
2.【下落サイン】大陰線
大陰線とは、実体部分が周囲のローソク足に比べ、明らかに大きいチャート上で目立つ陰線のことを言います。実体部分の大きさに関しては、大陽線と同じで特に基準があるわけではなく、トレーダーの主観によります。
大陰線は、始値から大幅に下落していることから売りの勢いが続くことを示し、上げ相場の高値圏で見られた時は、上昇トレンドから下降トレンドへの転換のサインにもなるローソク足です。
大陰線は下落が継続しているような場面で現れやすく、普段の動きと比べて大きく値を下げていることから、相場が弱気で売りの勢いがある状況だと判断できます。実体が長ければ長いほどエネルギーが強く、先高感も弱いことが示唆されます。
3.【停滞サイン】小陽線
小陽線とは、周囲のローソク足に比べ、実体部分が比較的短くなっている陽線になります。小陽線は停滞状態の相場、つまりレンジ相場で現れやすいローソク足です。小陽線が現れた場合、上昇するのか下落するのかどっち付かずの相場になりがちですが、連続で出現すると大陽線につながる可能性があります。
小陽線はやや買いに傾いた保ち合いを示し、マーケットの迷いや様子見姿勢の強さを表しているローソク足です。したがって、小陽線がしばしば現れるような場合は、この先上昇するのか下落するのかを予測することが難しく、停滞のサインと考えて取引を控えるのも一つの手になります。
4.【停滞サイン】小陰線
小陰線とは、周囲のローソク足に比べ、実体部分が比較的短くなっている陰線になります。小陰線も停滞状態の相場、つまりレンジ相場で現れやすいローソク足です。
小陽線が現れた場合、上昇するのか下落するのかどっち付かずの相場になりがちですが、連続で出現すると大陰線につながる可能性があります。また、小陰線は前述した小陽線と合わせて「コマ足(コマ)」とも呼ばれます。
小陰線はやや売りに傾いた保ち合いを示し、マーケットの迷いや様子見姿勢の強さを表しているローソク足です。そのため、小陰線がしばしば現れるような場合は、この先上昇するのか下落するのか予測することが難しく、取引を控えた方が無難と考えることもできます。
5.【下落サイン】上影陽線
上影陽線(うわかげようせん)とは、大きな上ヒゲがあって実体が小さく下にある陽線になります。「実体とヒゲ」の章で前述した通り、上影陽線の「影」は「ヒゲ」という意味です。
上影陽線を見ると、高値が終値よりもかなり高いことが分かります。要するに、上影陽線は大きく上昇したものの、それを打ち消すほどの強い売り圧力があったことを示しているのです。
上影陽線は始値から大きく値を上げた後に値下がりし、最終的には始値を少し上回った相場で現れます。上影陽線は、上値が重たいことから安値に傾く可能性を示唆し、上昇トレンドの高値圏で出た場合には下落トレンドへの転換点とも受け取れます。
ヒゲが長いほど、買い圧力が続かず売り圧力に押された状況を示すため、ヒゲの長さに注目することがポイントです。
6.【下落サイン】上影陰線
上影陰線(うわかげいんせん)とは、大きな上ヒゲがあって実体が小さく下にある陰線になります。上影陰線も上影陽線と同じく、高値が終値よりもかなり高いローソク足です。つまり、上影陰線も大きく上昇したものの、それを打ち消すほどの強い売り圧力があったことを示しているのです。
上影陽線は始値から大きく値を上げた後に値下がりし、大きく下落して始値を少し下回った相場で現れます。上影陰線は、上値が重たいことから安値に傾く可能性を示唆し、上影陽線と同様に上昇トレンドの高値圏で出た場合には、下落トレンドへの転換点とも受け取れます。
ヒゲが長いほど、買い圧力が続かず売り圧力に押された状況を示すため、ヒゲの長さに注目してください。上影陽線と上影陰線では、「上ヒゲが長いローソク足は売り圧力が強い」と覚えておきましょう。
7.【上昇サイン】下影陽線
下影陽線(したかげようせん)とは、大きな下ヒゲがあって実体が小さく上にある陽線になります。下影陽線を見ると、安値が終値よりもかなり低いことが分かります。要するに、下影陽線は大きく下落したものの、それを打ち消すほどの強い買い圧力があったことを示しているのです。
下影陽線は始値から大きく値を下げた後に値上がりし、大きく上昇して始値を少し上回った相場で現れます。下影陽線は、下値が堅いことから上昇に転じる可能性を示唆し、下降トレンドの安値圏で出た場合には、上昇トレンドへの転換点とも受け取れます。
ヒゲが長いほど、売り圧力が続かず買い圧力に押された状況を示すため、ヒゲの長さに注目することがポイントです。
8.【上昇サイン】下影陰線
下影陰線(したかげいんせん)とは、大きな下ヒゲがあって実体が小さく上にある陰線になります。下影陰線も下影陽線と同じく、安値が終値よりもかなり低いローソク足です。つまり、下影陰線も大きく下落したものの、それを打ち消すほどの強い買い圧力があったことを示しているのです。
下影陰線は、始値から大きく値を下げた後に値上がりし、最終的に始値を少し下回った相場で現れます。下影陰線は、下値が堅いことから上昇に傾く可能性を示唆し、上影陽線と同様に、下降トレンドの安値圏で出た場合には上昇トレンドへの転換点とも受け取れます。
ヒゲが長いほど、売り圧力が続かず買い圧力に押された状況を示すため、下影陰線もヒゲの長さが重要です。下影陽線と下影陰線では、「下ヒゲが長いローソク足は買い圧力が強い」と覚えておきましょう。
9.【停滞サイン】十字線
十字線(十字足)とは始値と終値が等しくなっており、上下にヒゲがあるものの実体が無い十字の形をしたローソク足になります。十字線は、「寄引同時線」とも呼ばれます。
十字線が現れる状況は買い勢力と売り勢力が拮抗した場合であることから、前述した小陽線や小陰線と同じく、マーケットに迷いが生まれていると判断することが可能です。
また上昇トレンドの高値圏では、これまでの買い方の勢いを売り方が止めたことになり、下降トレンドへの転換を示唆します。一方、下降トレンドの安値圏では、これまでの売り方の勢いを買い方が止めたことになり、上昇トレンドへの転換を示唆します。
つまり、状況によって買いシグナルにも売りシグナルにもなるということです。もちろん必ずトレンドが転換するわけではないため、前後のローソク足やテクニカル指標と合わせて判断することが重要です。
ローソク足を組み合わせた7種類のパターン
「ローソク足の基本パターン9種類を一覧で解説」の章で解説させていただいたローソク足の形を使って、ローソク足1本で相場を分析することも可能ですが、複数のローソク足を組み合わせた分析も覚えることをおすすめします。
なぜなら、複数のローソク足を使って分析した方が精度は高まるからです。早速、有効なローソク足の組み合わせを見ていきましょう。
1.【反転サイン】包み線(抱き線)
包み線は抱き線や包み足とも呼ばれ、連続する2本のローソク足のうち、右のローソク足が左のローソク足の高値と安値を包み込んでいる組み合わせのことを言います。
包み線では新しいローソク足が陽線か陰線か、どの局面で出現したかを合わせて確認することが重要です。包み線は上昇トレンドの高値圏で陰線が左のローソク足を包んだ場合、下落トレンドに転じるサインとなります。逆に下降トレンドの安値圏で陽線が左のローソク足を包んだ場合は、上昇トレンドに転じるサインです。
株式や先物などで使われる一般的な包み線の定義は、左のローソク足の実体が右のローソク足の実体に全て収まるというものになっています。ただし、ヒゲを比較する場合もあります。
また、流動性のあるFXでは値が飛ぶことがあまりないため、左のローソク足の始値を右のローソク足の終値が超えていれば、それを包み線とすることが多いです。
2.【反転サイン】はらみ線
はらみ線ははらみ足とも呼ばれ、連続する2本のローソク足のうち、左のローソク足が右のローソク足の高値と安値を包み込んでいる組み合わせのことを言います。はらみ線も包み線と同じく、ローソク足の組み合わせやどの局面で出現したかを合わせて確認することが重要です。
はらみ線は、上昇トレンドの高値圏で大陽線の次に小陽線や小陰線が現れた場合、下落トレンドに転じるサインとなります。逆に下降トレンドの安値圏で大陰線の次に小陽線や小陰線が現れた場合は、上昇トレンドに転じるサインです。さらに、2本目のローソク足が十字線になると、トレンド転換の可能性が上がります。
株式や先物などで使われる一般的なはらみ線の定義は、右のローソク足の実体が左のローソク足の実体に全て収まるというものになっています。ただし、ヒゲを比較する場合もあります。また、FXでは前の足の終値を引き継ぐことが多いため、始値は同じ価格でも問題ありません。
3. 酒田五法(さかたごほう)
酒田五法とは、ローソク足の考案者と言われる江戸時代の天才相場師である本間宗久が確立したとされる、複数のローソク足から相場を読み解く有名なチャート分析手法です。
酒田五法は「三山」、「三川」、「三空」、「三兵」、「三法」の五つのパターンが基本であり、本間宗久の出身地である「酒田」の地名から「酒田五法」と呼ばれています。
【反転サイン】三川(さんせん)
三川とは、下落トレンドからの上昇を3回繰り返して三つの谷を形成することを言います。3つの安値が谷、谷には川が流れていると考えて三川という名前になっています。
三川は後述する「三山」の逆パターンであることから、「逆三山(ぎゃくさんざん)」とも呼ばれ、「3回突破できなかった安値はもう突破できないだろう」という考えの分析です。真ん中の谷が最も深い場合は、「逆三尊(ぎゃくさんぞん)」とも呼ばれます。
三川は、海外では「トリプルボトム」、逆三尊は「ヘッドアンドショルダーズボトム」と呼ばれています。三川が見られた場合は、上昇トレンドへ転換する可能性が高いです。
ただし、三川は「底を確認したら買い」ということではあるものの、「底での逆張りは狙わずに底を確認してから順張りで買え」という意味であり、早すぎるエントリーには気を付けなければいけません。
4.【反転サイン】三山(さんざん)
三山とは、前述した三川とは逆に、上昇トレンドで上げ下げを3回繰り返して三つの山を形成することを言います。三山は、「3回突破できなかった高値は、もう突破できないだろう」という考えの分析です。また、真ん中の山が最も高い場合は「三尊(さんぞん)」とも呼ばれます。
三山は、海外では「トリプルトップ」、三尊は「ヘッドアンドショルダーズトップ」と呼ばれています。三山が現れた場合は、下落トレンドに転換する可能性が高いです。
ただし、三山は「天井を確認したら売り」ということではあるものの、「天井での逆張りは狙わずに天井を確認してから順張りで売れ」という意味であることに注意しましょう。
5.【継続サイン】三兵(さんぺい)
三兵とは、陽線または陰線が連続して3本現れた場合のことを言います。陽線の場合を「赤三兵(あかさんぺい)」、陰線の場合を「黒三兵(くろさんぺい)」とも呼びます。赤三兵の「赤」は、かつてローソク足の陽線を赤で書いていたことが由来です。
赤三兵は相場の安値圏で終値を切り上げ、黒三兵は相場の高値圏で終値を切り下げているのが特徴になります。三兵は陽線の場合は強い上昇を示す継続(順張り)の買いサイン、逆に陰線の場合は強い下落を示す順張りの売りサインです。
ただし、陽線でも2本目と3本目に長い上ヒゲが出ている場合は「赤三兵の先詰まり」と呼ばれ、買い圧力が弱まっているため、売りのサインと見ることもあります。
6.【反転サイン】三空(さんくう)
三空とは、3回連続で「空(窓)」が出現した場合のことを言います。窓とは、ある1本のローソク足と、その右のローソク足との間に上下どちらかの隙間ができた時の、その隙間のことです。三空は突発的なニュースなどによる相場の急騰または急落で、左のローソク足の終値と右のローソク足の始値が重ならないことで発生します。
つまり、株や先物では現れることがありますが、終値が次のローソク足の始値となることが多いFXではあまり発生しないローソク足の組み合わせです。とはいえ、三空の考え方はFXでも取引の参考になるため、FXのトレーダーも覚えておいた方がよいでしょう。
三空は、「急騰や急落が3回続けば買われ過ぎや売られ過ぎであり、逆張りでのエントリーに適している」という分析になります。上昇トレンドの高値圏で、4本の陽線と3つの上方向の空が連続するパターンは、「三空踏み上げ(さんくうふみあげ)」と呼ばれ、逆張りでの売りのエントリーチャンスです。
一方、下降トレンドの安値圏で、4本の陰線と3つの下方向の空が連続するパターンを「三空叩き込み(さんくうたたきこみ)」と言い、逆張りでの買いのエントリーチャンスになります。
7.【継続サイン】三法(さんぽう)
三法とは、上昇と下落を繰り返して相場の方向性が定まらない状況、いわゆるレンジ相場のことを言います。動かない相場では取引を休み、相場が動き出したら取引を始めるべきといった考え方です。三法は、レンジ相場では取引を休み、相場がレンジから離れて動き出したら動いた方向に仕掛けるという「ブレイクアウトでの順張り」になります。
大陽線が出た後に陰線が3本出て再び大陽線が出るパターンは、「上げ三法」と呼ばれており、大陽線が出てレンジ相場の高値を上抜けると買いのサインです。逆に、大陰線が出た後に陽線が3本出て再び大陰線が出るパターンを「下げ三法」と呼び、大陰線が出てレンジ相場の安値を下抜けると売りのサインになります。
ローソク足のパターンを活用する取引手法2選
ローソク足の形とチャートパターンは、マーケットへのエントリーまたはエクジットポイントによく利用されます。
ローソク足はハンギングマン(首吊り線)、ハンマー、流れ星など単独でもチャートパターンを形成します。ローソク足チャートはまた、トライアングル、ウェッジ、ヘッドアンドショルダー(三尊天井)などのさまざまなチャートパターンを形成します。
これらのチャートパターンは、FXのチャート上に数多く出現し、また株式や仮想通貨などのその他のマーケットでも機能します。
ローソク足のパターンの活用は初心者でもできる
ローソク足のチャートパターン、つまりトレンドが反転または継続する際に現れる特徴的なチャートの形を覚えておくと、取引に非常に役立ちます。なぜなら、チャートを見るだけで、トレンドの反転や継続を予測できるからです。
ローソク足のチャートパターンは見つけやすいものも多く、初心者でも十分活用することが可能です。
【反転サイン】ハンギングマン(首吊り線)
出所:IG証券
ハンギングマン(首吊り線)は、上昇トレンドの高値水準で売り圧力が急速に高まったときのローソク足のチャートパターンです。長い下ヒゲ、短い上ヒゲ、短い実体と始値より低い終値を特徴とします。
これは、今後下降トレンドにつながるとみられる弱気のシグナルです。ハンギングマンやその他のローソク足のチャートパターンを特定する方法を修得することにより、ローソク足チャートの使用で見つけられるエントリーやエクジットのシグナルを学習することができます。
下のチャートは、英ポンド/米ドルの週足を示しています。つまり、各ローソクは1週間の始値、終値、高値、安値を示しています。下の(丸で囲まれている)ハンギングマンは、弱気のシグナルです。トレーダーは、このような弱気のシグナルをショートでの取引のエントリー、つまり英ポンドが米ドルに対し相対的に下落するという取引に利用します。
ショートでの取引にハンギングマンを使用する場合、プラスのリスク・リワード比率を確保して、損切りの逆指値注文と利益確定の指値注文を設定する必要があります。
【反転サイン】流れ星(シューティングスター)
流れ星(シューティングスター)のローソク足のチャートパターンは、ハンギングマンと同じように弱気への反転を示し、ローソク足の半分以上の長さのヒゲが上側に形成されます。長いヒゲは、売り手が買い手に対し優勢であることを示しています。要するに、流れ星は、マーケットへのショートのエントリーまたはロングのエクジットのサインです。
トレーダーは流れ星のローソク足が引けたところで、ショートでの取引をエントリーし、流れ星を活用することができます。トレーダーは、流れ星の上にストップロスを置き、以前のサポートラインまたはプラスのリスク・リワード比率を確保できる水準に目標を置きます。プラスのリスク・リワード比率は、成功するトレーダーの特長であることがわかっています。
ハンマーの形成は、実質的に流れ星の対極にあります。ハンマーは強気への反転を表すローソク足であり、強気派が弱気派に対し優勢になり始めたことのサインです。
ハンマーは、長い下ヒゲと短い実体を特徴とします。ハンマーは、マーケットへのロングのエントリーまたはショートのエクジットに使用します。
下の図は、ハンマーのチャートパターンをロングでの取引のエントリーに使用した例です。損切りの逆指値注文をハンマーの下に置き、利益確定の指値注文をプラスのリスク・リワード比率を確保するために充分な価格に置きます。
ローソク足を使う際の注意点3選
ローソク足はチャートの分析において非常に有効ですが、使う際には重要な注意点があります。
- 自分に適した時間足を選ぶ
- ニュースの発表に気を付ける
- 他の時間足も確認する
注意点を理解し、ローソク足を適切に活用できるようにしましょう。
1. 自分に適した時間足を選ぶ
ローソク足には1分足から1時間足、日足、週足、月足など、様々な種類があります。要するに、1本の足を形成するのにかかる時間が異なっており、自分の取引スタイルに応じて適切な時間足を選ぶ必要があるのです。
例えば、数秒から数分程度で何度も売買を繰り返すスキャルピングを主におこなうトレーダーは1分足や5分足、1日の中で取引を終了させるデイトレードの場合は5分足や15分足、数日から数週間単位で売買を完結させるスイングトレードでは日足や週足が使われることが多いです。
どの足を利用するかはトレーダーによるため、自分に合った時間足を使うようにしましょう。
2. ニュースの発表に気を付ける
ローソク足をしっかりと分析していても、経済指標の発表や各国の要人の発言には気を付けなくてはいけません。なぜなら、価格の急変動によって大きな損失が発生する可能性があるからです。
例えば、米国の雇用統計の発表や、中央銀行の総裁の発言、企業の決算発表などは大きな影響力があり、ローソク足の分析とは逆方向に大きな急変動が発生することがあります。したがって、ニュースが発表される時間帯に注意し、その時間は取引を控えたりポジションを決済したりしておくと安心です。
3. 他の時間足も確認する
取引に慣れてきたら、自分が普段取引で使っている以外の時間足も見ることをおすすめします。というのも、短い時間足と長い時間足のトレンドが異なっていることがあるからです。
例えば、5分足では上昇トレンドであっても、1時間足では下降トレンドということは珍しくありません。その場合、買いポジションを保有していると、いずれ下降トレンドに飲み込まれてしまう可能性が高くなります。
長い時間足のトレンドの方向性を把握し、大局的な流れをつかんでから短い時間足を見て取引することで、取引の勝率アップが期待できます。
【株・FX・CFD】ローソク足を使った取引の向上のために
ローソク足について理解を深めるには、無料のFXトレードガイドをご活用ください。専門家による主要通貨や石油、金、株式相場の見通しについても解説しています。
ローソク足の種類 まとめ
ローソク足の分析は、トレーダーがテクニカル分析をおこなう上での基礎中の基礎となります。ローソク足の見方が分かれば相場を把握する力が高まり、トレンドの反転や継続といった値動きの予測も可能です。特徴的なチャートの形を見つけたら、ぜひ本記事を見返してみてください。
ただし、ローソク足パターンが示すサイン通りの動きが必ず起こるわけではありません。ローソク足だけでなく他のテクニカル指標と組合せて使うことで、分析の精度を上げ、よりよい取引を目指しましょう。
ローソク足の種類に関するよくある質問
この項目では、ローソク足の種類に関する知っておきたいことや注意しておきたいことをまとめてご紹介していきます。
- ローソク足を使ってトレンドの転換点を見極めるには、どうすればいいですか?
- 「ローソク足の分析は意味ない」と聞きましたが本当ですか?
1. ローソク足を使ってトレンドの転換点を見極めるには、どうすればいいですか?
トレンドの転換点を見極めるには、ローソク足パターンを見つけるのが有効になります。例えば、包み線やはらみ線は高値圏や安値圏で、トレンド転換のシグナルになります。
その他にも、「ローソク足のチャートパターンを活用する取引手法2選」の項目で解説したハンギングマンやはらみ線も、やはりトレンド転換のシグナルとして活用することが可能です。
2. 「ローソク足の分析は意味ない」と聞きましたが本当ですか?
ローソク足の分析は、株やFX、先物などの取引において有効です。つまり、実際に取引をする前に、ローソク足の分析はしっかりとおこなうべきです。
ただし、ローソク足だけでなく他のテクニカル分析やファンダメンタルズ分析と組合せて使うことで、分析の精度をより高めることができます。そのため、ローソク足パターンだけではなく、テクニカル指標やニュースを活用した分析も同時におこなうとよいでしょう。
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