S&P500種指数は、4月に入り、下落基調で推移。VIX指数に注目すべき動きが。投資家心理の変化が米国株の下落圧力。このような中、S&P500の今後の見通しとは。
【S&P500のターゲット】
上値: 5,200ポイント
下値①: 5,042ポイント
下値②: 4,974ポイント
S&P500の調整
S&P500種指数は、中東情勢やFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測後退が重荷となり、下落基調で推移している。4月に入ってから、原油価格の上昇を受けたエネルギーセクターなど一部を除き、ほとんどのセクターが下落している。
エヌビディアに代表されるAIブームに伴い、大幅上昇してきたことへの高値警戒感もS&P500の上値を抑える要因になっている。
資料:BloombergよりDailyFXが作成
恐怖指数VIX駆け上がる
AIブームなどにより年初にかけ、投資家は、S&P500を含む米国株に強気であった。投資家の不安心理を示す、ボラティリティ指数(VIX指数)は歴史的な低水準で推移していた。
VIX指数は恐怖指数とも言われ、値が高いと投資家の米国株への不安心理が高まっていることを示し、値が低いと、投資家が米国株へ楽観的、強気であることを示す。
VIX指数は、投資家の不安心理をあらわすことから、S&P500と逆の動きをする傾向がある。VIX指数が上昇、不安心理が高まると、S&P500は下落する傾向がある。
足元、VIX指数から見て、過度に楽観的とも言える状況からの巻き戻しが、中東情勢や高値警戒感などを背景に起こっており、S&P500の下落圧力になっている。
このような調整は過去も見られたものであり、中長期的には、投資家の楽観的なスタンスが巻き戻された後、S&P500が再度上昇に転じる展開が視野に入る。
ただし、短期的には、VIX指数には一段の上昇余地があり、投資家の不安心理が一段と高まり、S&P500の下落圧力となる可能性がある。
S&P500とVIX指数
資料:TradingView
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S&P500種指数の今後の見通し
S&P500種指数は、50日移動平均線を下抜け、下落圧力が強まっている。また、RSIは30以上50以下で推移しており、S&P500に更なる下落余地がある。
テクニカル面で弱気シグナルが点灯し、投資家心理の一段の悪化の可能性がある中、S&P500の下落を見込む。
S&P500は、フィボナッチリトレースメント38.2%水準5,042ポイントへの下落が視野に入る。この水準を下方ブレイクすると、年初からの上昇の半値戻しの水準4,974ポイントをトライしよう。
米国企業の決算発表シーズンが開始している。企業決算が予想を上回るものが相次いだ場合や、中東情勢の緩和が見られた場合、投資家のリスクセンチメントが改善、S&P500が上昇する可能性がある。その場合、心理的節目である5,200歩インドへの上昇が視野に入る。
【S&P500のターゲット】
上値: 5,200ポイント
下値①: 5,042ポイント
下値②: 4,974ポイント
S&P500日足チャート
資料:TradingView
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著