※2024年5月24日11時55分更新
NY金価格の下げがきつい。FOMC議事要旨で明らかになったFRBのタカ派的な姿勢とドル高が圧迫している。強気派が揺らぐ中、NY金価格は週ベースで昨年12月以来最大の下落幅を記録しそうだ。来週発表の米PCEデータが下げ幅を拡大させるのか？
NY金価格 (XAU/USD) の分析
- タカ派的なFOMC議事要旨が厳しい現実を突きつける
- 金価格は昨年12月以来最大の週下落率へ
- 日足チャートでは強気の勢いが衰え、弱気のダイバージェンスが顕著に
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タカ派的な警告を発したFOMC議事要旨
22日に公表された米連邦公開市場委員会（FOMC）の議事要旨では、目下の問題であるインフレに改めて焦点が当てられた。4月の米消費者物価指数（CPI）は予想を大きく上回って上昇することはなく、ほっと一息ついたが、FOMC議事要旨は市場に、この先待ち受けている厳しい現実を思い起こさせた。
FOMCのメンバーは、インフレ率が2％の目標に向かって持続的に低下しているとの確信を得るには、以前考えられていたよりも時間がかかると見ている。さらに、様々なメンバーが、インフレ見通しに対するリスクが認識された場合は金融政策をさらに引き締める意向を示した。
その結果、政策金利の動向に敏感な米2年債利回りは上昇し、ドル高も進行した。下記のチャートが示すように、金価格にとってはそれらが重しとなった。
金スポット価格、ドル指数 (緑線)、米2年債利回り (紫線)
資料：TradingView、チャート作成：リチャード・スノー
NY金の週下落率、昨年12月以来最大に
金価格は今週、史上最高値を更新したが、その後すぐ下げに転じ、現在、週ベースの下げ幅は昨年末以来最大となっている。金相場は利下げ期待を背景に、今年に入ってから大幅な上昇を享受してきた。特に中国など中央銀行の金買いも顕著に増加している。中国では人民元が対ドルで一貫して下落している。
ところがここへきて、金利低下は米国でまだ実現していないだけでなく、頑強なインフレによりさらに遠のいていくように見える。さらに、強気トレンドの最中の調整は、強気の勢いが衰え始めるかもしれない最初のシグナルとして4月に現れたものを除けば、まだあまり進んでいない。
NY金スポット価格 (XAU/USD) 週足チャート
資料：TradingView、チャート作成：リチャード・スノー
日足チャートを見ると、金価格は急反転しただけでなく、弱気のダイバージェンスも示現しており、注目に値する。
金価格が高値を更新する一方で、RSI（相対力指数）の数値は低下しており、強気モメンタムが弱まっている可能性を示唆している。金価格は2020年から2022年にかけての下落のフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準を試している。このレベルを下回って引けた場合、来週は米個人消費支出（PCE）の発表を控えていることもあり、新たなモメンタムが生まれる可能性がある。
2,319ドルが次のサポートとなり、5月の安値2,277ドルがそれに続く。強気勢が持ち直し、フィボナッチ・リトレースメント161.8%の水準2,360ドルを終値で上回れば、強気トレンドの継続を検討してもよいと思われる。
NY金スポット価格 (XAU/USD) 日足チャート
資料：TradingView、チャート作成：リチャード・スノー
--- DailyFX.com リチャード・スノー著
スノー氏に連絡するには、Ｘ（旧Twitter）で @RichardSnowFX までお願いいたします。
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