銅の取引方法:銅の取引戦略とヒント
- 銅は明確なチャートパターンが現れやすく、取引しやすい商品である
- 銅価格は米ドルで設定されているため、米ドルの価格が影響を与えている
- 銅の取引戦略は、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析が用いられる
- 銅価格は、建築や建設の需要に対して連動するため、新興国市場が成長しているときに上昇する傾向がある
銅を取引するメリットと取引方法
銅を取引するメリットの1つは、さまざまな投資方法を利用できることです。銅は、先物、オプション、スプレッドベッティング(英国のみ)などで取引できます。さらに、CPER(ユナイテッド・ステーツ銅インデックスファンド)や、JJCB(iPathシリーズBブルームバーグ銅サブインデックス・トータルリターンETN)などの銅ETFを購入して、銅へ投資することも可能です。
銅は、金や銀のような性質を持ち、柔らかく、可鍛性がある金属です。その大半は、建築や輸送機器、電子製品に需要があります。また、銅は電気と熱の伝導性に優れており、幅広い産業用途があるため、取引量が多くなっています。これは、スプレッドの縮小と明確なチャートパターンにつながるため、トレーダーにとってはメリットになります。
銅価格の動きは、中国やインドなど新興国の需要に大きく影響されます。景気が良い時期には、新興国で大量の銅が必要となり、その需要が銅価格を上昇させます。一方で、景気後退の時期には銅の需要が減少し、価格も下落します。トレーダーが銅を取引する際は、これらの動向に注意しなければなりません。
銅を取引するトレーダーは、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析を用いて取引戦略を立て、価格の上昇・下落を予測します。そして、予測に自信を持つようになれば、値動きから利益を得ようと銅を売買し始めるでしょう。なお、取引戦略はトレーダーのリスク管理や、マーケットでの売買シグナルを識別し、ポジティブなリスクリワードレシオで適切な利食いと損切りのレベルを設定することにも役立ちます。
銅の取引時間
銅の取引は、CME GlobexとCMEクリアポートでおこなわれています。取引時間は日曜日から金曜日の午後6時~午後5時(米国東部時間)で、毎日午後5時から1時間の休憩があります。
テクニカル分析を活用した銅相場の予想方法
トレンド相場
テクニカル分析を利用するトレーダーは、マーケットの状況にもとづいて異なる取引戦略を立てています。マーケットの状況とは、マーケットがトレンドを形成しているのか、保ち合いにあるのかを指します。プロのトレーダーは、自身の戦略をマーケットの状況に合わせて選びます。
以下のチャートでは、銅が日足チャートで上昇トレンドを形成しています。トレンド相場は、常に新しい価格に到達するマーケットと定義されています。トレーダーは、オシレーターやトレンドラインを組み合わせた銅の取引戦略を用いて、売買シグナルを探します。他の効果的な指標として、移動平均線やスローストキャスティクス、MACD(移動平均収束拡散手法)などが挙げられます。
世界中で一番使われているテクニカル指標である、移動平均線を使って分析をするのもよいでしょう。例えば、20日移動平均線を短期線、50日移動平均線を中期線、200日移動平均線を長期線とし、これら3本の移動平均線を使って現在の相場を分析することができます。
下のチャートは、銅の日足チャート(2023年9月1日現在)に3本の移動平均線を表示させたものです。
出所:IG証券
チャートでは、緑色の線が短期線、黒が中期線、黄色が長期線となっています。
短期線が長期線をゴールデンクロス(下から上にクロス)すると強気のシグナルになり、続いて中期線が長期線をゴールデンクロスすると、さらなる強気のシグナルが発生します。移動平均線が上から短期線・中期線・長期線という並び順になり、3本の線が右肩上がりの状態は「パーフェクトオーダー」と言われ、買いの優位性が高いとされています。
上のチャートでは、上から長期線・中期線・短期線という並び順になっており、長期線は横ばいであるものの、2本の線が右肩下がりの状態で売りに優位性がある状態です。つまり、移動平均線から判断すると現在は売りにエッジがあると判断できるのです。
移動平均線はマーケットがトレンドの中にある時は上手く働き、逆にマーケットの方向性が定まらず横ばいの時はあまりいい結果がでないとされています。そのため、必ずしも利益につながるとは言えませんが、今後の見通しを考える上で一つの参考になるはずです。
なお、DailyFXの銅市場のデータでは、リアルタイムの銅の価格をいつでも無料で参照することができます。
レンジ相場
レンジ相場では、銅を取引する際に別の取引戦略が必要です。レンジ相場は、現在一定のレンジの中で価格が動いていることを意味します。そのため、トレーダーは以前の高値(レジスタンスライン)で銅を売るか、以前の安値(サポートライン)で銅を買うかを検討します。その後、レンジの反対側でマーケットから撤退することを検討できます。
レンジ相場はいずれレンジを突破するため、トレーダーは逆指値注文を利用してリスクを管理することが重要です。以下のチャートは、銅の4時間足チャートであり、レンジ相場から下にブレイクしたことを示しています(オレンジ色の×)。トレーダーは、銅価格が緑色の◯に達した時点で買い、価格が上側のレンジ(赤色の◯)に達したときに利益を得る、または価格がレンジの赤色の◯に達した時点で売り、価格が緑色の◯に達した時点で取引を終了する戦略を立てることが考えられます。
銅相場の初心者と上級者のためのヒント
- トレーダーはまず、現在のマーケットの状況を把握し、次に適切な銅の取引戦略を選ぶべきである。
- 銅は米ドルで価格を設定されているため、米ドルの動向に注意する必要がある。
- 新興国市場からの需要は銅価格を長期的に押し上げる可能性があるため、トレーダーは中国、インド、ブラジルなどの新興国市場の成長見通しをチェックする必要がある。
- リスク管理は銅取引において、重要な役割を果たす。そのため、保有しているすべてのポジションにおいて、リスクを資金の5%未満に抑えることが推奨される。
- 取引を始める前に、DailyFXの成功しているトレーダーの特長を読み、初心者トレーダーがおちいりやすい失敗を避けるようにする。
銅相場の予想に役立つ情報
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銅価格は一般的に、世界経済の状況に左右されます。
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米ドルは銅価格に影響を与える可能性があるため、米ドルに関するDailyFXのマーケット展望を確認することも大切です。