金価格(XAU/USD)・金相場のチャートは、こちらからご覧いただけます。
ゴールド(金)は、常に人々の関心を集めてきました。その輝かしい特性や安定した価値は、数多くのトレーダーにも魅力を与え続けています。この記事では、ゴールド投資の特徴やメリット、さらには成功を収めるためのトレード戦略について詳しく探っていきます。
ゴールド投資のメリットとは?
かつて、ゴールドを取引するためには金そのものを売買しなければならず、だれでも気軽に投資できるようなものではありませんでした。その後、先物やオプションが登場したことで、トレーダーは実際に金の現物を持っていなくとも、ポジションを取ることができるようになったのです。
さらにゴールドの上場投資信託(ETF)の登場によって、株式と同じようにゴールドの取引を行うことができるようになり、さらに金の投資が手軽になりました。
現在では、ゴールドの取引方法は、FXとほとんど変わらないといっていいでしょう。具体的には、取引プラットフォーム上でゴールドの価格が上昇するか下落するかを考え、自身が考えた方向にポジションを保有、決済するだけで取引が完結します。
ゴールド投資の特徴とFXとの共通点
ゴールド投資ならではの特徴とFXとの共通点について、以下の4つの項目で解説していきます。
- ゴールドは安全資産としてみなされている
- ゴールド投資の大半は対ドル
- スプレッドが比較的狭い
- ゴールドの取引時間はFXとほぼ同じ
ゴールドは安全資産としてみなされている
通貨は政府や中央銀行の意向にたびたび左右されてしまいます。
一方でゴールドの価格は、財政政策や金融政策の影響を直接受けることはなく、常に金自体が何らかの価値を持ち続けることから、価値の貯蔵庫として見なされています。つまり、ゴールドの価格は通貨のようにハイパーインフレやその他の要因によってタダ同然となってしまうことはないのです。
実際、ゴールドのトレードで変動する原資産の価値が、単なる銀行口座の数字ではなく、現物として価値がある点に魅力を感じている人もたくさんいます。
このような特徴もあり、ゴールドは、日本円やスイスフラン、米国財務省が発行する債券、社債などとともに、資産の「安全な避難場所」として注目されるようになりました。
相場でのリスクが高まると、トレーダーは安全な資産であるゴールドを購入する傾向があります。特にゴールドは現物としての価値が高いため、インフレヘッジのための投資先として選ばれることがよくあります。
逆に、トレーダーがリスク選好的になると、ゴールドや債券などを売却して、代わりにリスク資産である株式や金利の高い通貨へ投資することがあるのです。
ゴールド投資の大半は対ドル
スイスフランや円は、ドル、ユーロ、ポンドなど他の様々な通貨と取引されます。一方で、ゴールドはほとんどの場合、対ドルで取引されるのです。
したがって、ゴールドを取引する際は、ドルの値動きを考慮する必要があります。例えば、ドルの価値が上がれば、その分、ゴールドの価格が下がる可能性があり、逆にドルの価値の減少がゴールド価格の上昇につながることもあります。
スプレッドが比較的狭い
ゴールド投資の特徴として、スプレッド(買値と売値の差)が狭い傾向にある点が挙げられます。
スプレッドを決める重大な要素は、マーケットの流動性。流動性が高い銘柄のスプレッドは狭く、少ない銘柄のスプレッドは広くなる傾向にあります。
非営利団体「ワールド・ゴールド・カウンシル」の推定によると、ゴールドの1日の平均取引量は、ユーロ/ドル、ドル/円、ポンド/ドルを除いた、どの通貨ペアよりも多くなっているのです。
つまり、ゴールド投資(XAU/USD)のスプレッドはユーロ/円やポンド/円などのクロス円通貨よりも狭くなるので、トレードコストを抑えた取引が可能になります。
ゴールドの取引時間はFXとほぼ同じ
ゴールドの取引時間は、FXと同じくほぼ1日24時間です。ゴールドの取引所はほぼ常時開いており、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シドニー、香港、上海、東京とシームレスに移り、再びヨーロッパへと戻ります。したがって、自身の取引したい時間に合わせて、いつでもゴールド投資ができるのです。
ただし、FXと同様、ニューヨーク時間の終了後は取引量が少なくなり、比較的値動きも静かになります。市場終了間際では不安定な値動きになったり、スプレッドが広がったりする可能性がある点には注意するようにしましょう。
テクニカル分析を使ったゴールド投資とトレード戦略
テクニカル分析を使って、ゴールドのチャートの市況が長年にわたってどのように変化してきたのかを見ていきましょう。
以下は、2002年~2024年2月までにおけるゴールド(XAU/USD)の月足チャートです。
出所:Trading View
ゴールドの価格は、2004年から2011年にかけて大きな上昇トレンドを形成し、約400ドルだった金価格が約7年で約1,900ドル(4.75倍)まで上昇しました。
しかし以降は下落し、2013年から2018年にかけてのゴールドの価格は1,000ドルから1,400ドルの間を行き来し、一定のレンジで取引されています。
ゴールドの再上昇が始まったのは2019年。レンジ上限であった1,400ドルをブレイクし、2023年12月時点では約2150ドルの高値を付けています。
長期でゴールドチャートを見ると、2004年から2024年の20年間で約5倍もの値上がりを達成したことが分かります。まだ上昇の波が崩れていないことから、今後も金価格は上昇する可能性が高いと考えられるでしょう。
【参考】金価格(XAU/USD)・金相場のリアルタイム価格チャートはこちらでご覧いただけます。
ゴールド投資で使えるトレード戦略
先ほどのゴールドチャートを見て分かる通り、金価格は長い間上昇トレンドを描いています。したがって、ゴールド投資における基本の取引戦略は、トレンドフォローの「押し目買い」。
ゴールドの押し目買いに使えるシンプルなテクニカル分析として、過去の高値・安値を結んだ水平ラインや、トレンドライン、チャートパターンが挙げられます。
例えば、ゴールドの価格が上昇して、過去の高値を結んだ水平ラインを突破した際に、そのラインを目安として押し目買いをする戦略が考えられます。トレンドラインも同様で、過去の価格に沿って引いたトレンドラインにタッチしたタイミングで、押し目買いを行います。
また、ラインを使った押し目買いのタイミングで、ダブルボトムやヘッドアンドショルダーといった買いシグナルのチャートパターンを確認できると、より精度を高められるでしょう。
さらに高度なテクニカル分析を使いたいトレーダーは、エリオット波動やフィボナッチ・リトレースメントなどのテクニックを使うこともおすすめです。
ただし、ゴールド価格は低ボラティリティのレンジ相場を形成するときもあります。レンジ相場では、トレンドフォロー取引は避けなければならず、サポートラインやレジスタンスライン付近での逆張りが基本戦略となります。このように、相場状況に合わせてトレード戦略を切り替えることも重要なのです。
今回はテクニカル分析を中心としたトレード戦略を紹介しました。ゴールドのトレードには、他にも需要と供給の影響を考えたファンダメンタルズ戦略やゴールドトレーダーが現在保有しているポジションの分析など、さまざまなトレード戦略があります。
デイリーFXの学習コンテンツでは、ゴールド投資に役立つ幅広い基礎知識を学ぶことができるので、ぜひ参考にしてみてください。
ゴールド投資の上級者になるためのヒント
ゴールド投資の上級者を目指すには、テクニカル分析以外の戦略も組み合わせる必要があります。例えば、ファンダメンタルズ分析を使って、重大ニュースを受けた後にマーケットのセンチメントがポジティブなのかネガティブなのかを判断する方法があります。
【参考】マーケットのセンチメントの把握には「IGクライアントセンチメント」が役に立ちます。
次に、ゴールドはドルと取引されることが多いため、ドルのレートがどうなるかということも考慮する必要があります。
例えば、近年リスクオフの相場においてドル建てのゴールド価格が比較的安定している理由として、ドルも安全資産とみなされるようになったことが挙げられます。したがって、例えば地政学的な状況が悪化した場合、対ドルでゴールドを買うのではなく、下落が激しくなると予想できる対オーストラリアドルでゴールドを購入するのも1つの戦略です。
また、ゴールドジュエリーの需要もゴールド投資に資する要因となり得ます。特にインドや中国では、ゴールドジュエリーが今でも重要な長期投資対象として見られており、産業界でも多くの場面で利用されています。したがってゴールドジュエリーの需要が高まると、金価格も上昇する可能性が高いのです。
ゴールドの需要を考える際は、「バリック・ゴールド」や「ニューモント・マイニング」といった主要生産企業の生産量、つまり供給側の視点も持って分析するとよいでしょう。
ここまで紹介した、ゴールド投資の上級者になるためのヒントを以下にまとめたので、取引時にはぜひチェックするようにしてください。
- マーケットが「リスクオン」モードなのか、「リスクオフ」モードなのかを考える
- ゴールドの価格だけでなく、ドルのパフォーマンスにも注目してみる
- ファンダメンタルズ分析、センチメント分析、テクニカル分析を組み合わせて考える
- ゴールドジュエリーの需要を考える
- ゴールドの工業用需要、供給量を考慮する
まとめ
この記事では、ゴールド投資のメリットや特徴から実際に活用できる取引戦略に至るまで詳しく解説しました。
現物がなくてもゴールドが取引できるようになったことで、ゴールド投資のハードルも下がり、FXの取引と似た形となりました。誰でも投資ができるようになった結果、取引量も増し、ドル建てに関しては、今ではクロス円通貨ペアをしのぐ取引量を誇っています。
ゴールド投資で重要なのは、テクニカル分析をしっかりと行って動向を予測すること。また、ファンダメンタルズ分析、センチメント分析、テクニカル分析を組み合わせることで、より取引精度を増すことができるでしょう。
ただし、ゴールド投資でFXと同じようにレバレッジを活用する際は、かけすぎないように注意しなければなりません。何か予想外の事態が起きたときのために、リスク管理やターゲットの設定、損切り位置などを必ず取引前に考えておくようにしましょう。
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