銀(シルバー)のトレード戦略の基本
- 銀は、投資家がインフレヘッジや安全資産として利用する貴金属商品である
- さまざまな銀のトレード戦略があるが、中でもトレンドフォローとレンジ取引が好まれている
- より優れた銀トレーダーは、テクニカル分析を利用してシグナルを探し、銀を売買している
銀(シルバー)の特徴とトレードをするメリット
銀は取引量が多く、スプレッドが狭いため、トレードしやすい商品です。また、流動性が高いため、明確なチャートパターンがよく発生します。金に比べて市場規模が小さいため、銀のボラティリティは大きくなります。デイトレーダーは、このボラティリティによる日中の大きな価格の変動を活用しています。
銀には、電子機器や鏡、歯科用合金など幅広い産業用途があるため、産業界や投資家による安全資産としての需要に大きく影響を受けます。
また、取引時間が長いことも銀のメリットです。銀の取引時間は以下のとおりです。
日本時間8:00〜7:00(夏時間 7:00〜6:00)
銀(シルバー)の優れたトレード戦略とは
銀にはさまざまなトレード戦略がありますが、トレンドフォローとレンジ取引は多くのトレーダーから好まれています。
トレンドフォロー戦略
トレンドフォローとは、以下の3つのステップで構成されたシンプルな戦略です。
- トレンドを判断する
- トレンドの方向に発生しているシグナルを選別する
- 損切りの逆指値と利益確定の指値注文を設定する
1) トレンドを判断する
トレンド相場とは、常に新しい高値または安値を生み出している相場のことです。例えば、上昇トレンドは直近の高値と安値を切り上げながら上昇します。一方で、下降トレンドは直近の高値と安値を切り下げながら下落します。
トレンド方向の決定には、トレンドラインや移動平均線など、さまざまな判断方法を用いることができます。トレンドフォローの戦略を理解することで、銀をトレードしやすくなるでしょう。
以下のチャートでは、3つの方法を利用して、同じトレンドを特定する例を紹介します。銀のトレンド方向を決定する際には、いずれかの方法を利用できますが、すべてを用いる必要はありません。
1つ目の方法は、銀価格が高値と安値を連続して切り上げていることに注目します。2つ目は、価格がサポートラインであるトレンドラインを上回って推移していること、3つ目は、銀価格が200日単純移動平均線を上回っていることに注目します。
トレンドを判断したら、次のステップに進みます。
2) トレンドの方向に発生しているシグナルを選別する
銀や資産をトレードする際に、トレーダーはさまざまなツールでマーケットの売買シグナルを選別します。トレンドラインは、効果的な指標である一般的なツールです。さらに、単純移動平均線やRSI(相対力指数)、ストキャスティクス、MACD(移動平均収束拡散手法)など、4つのインジケーターをよく利用します。
トレーダーが自分で理解できる、使いやすいインジケーターを選び、トレンドの方向に発生するシグナルのみをトレードすることが理想的です。
上記のチャートでは、銀がトレンドラインに近づいていること、及び200日単純移動平均線に到達しようとしていることを確認できます。これらは、多くのトレーダーにとって明確な買いシグナルです。シグナルの判断には多くの手法がありますが、そのシグナルを選別し、トレンド方向にのみトレードすることが重要です。
3) 損切りの逆指値と利益確定の指値注文を設定する
成功している銀トレーダーにとって最も重要なことは、リスク管理を習慣付けることです。リスク管理には、損切りの逆指値と利益確定の指値注文の設定が欠かせません。DailyFXでは、オープンしているすべてのトレードでリスクを5%以下にすることを推奨しています。また、各トレードのリスクは口座資金の1%、利益が1.5%以上に達するように設定することが大切です。
上記のチャートは、銀のトレーダーがどのようにトレードするのかを示しています。
a) トレンドラインを買いシグナルとして、黄色のボックスでトレードする
b) 直近の安値の下に、逆指値注文を設定する(赤色の長方形)
c) 逆指値注文の2倍の距離に、指値注文を設定する(緑色の長方形)
レンジ取引戦略
レンジ取引戦略は、マーケットに保ち合い局面が見られる場合、つまり価格がレンジ内で推移する傾向がある場合に用います。
銀市場は常に上昇、または下降トレンドにあるわけではなく、価格が「横向き」に動くと、保ち合い局面に入ることが多くあります。保ち合い局面でのトレード戦略があるため、これはトレーダーにとってデメリットではありません。
保ち合い局面にある銀のチャートを以下に示しています。3つのステップで、トレーダーはレンジ内の銀をトレードします。
- レンジを判断する
- シグナルを選別する
- トレードを実行し、損切の逆指値と利益確定の指値注文を設定する
1)レンジを判断する
レンジを見つけるには、サポートゾーンとレジスタンスゾーンを見つけなければなりません。サポートゾーンは一直線上に見える複数の安値で、レジスタンスゾーンは一直線上に見える複数の高値になります。価格がレジスタンスゾーンに達したときに売り、サポートゾーンまで下落したときに買いを検討しましょう。
こちらの2時間足の銀のチャートでは、価格は16.775から16.125の間で推移しています。上記のように、複数の高値と安値を探してください。赤色と緑色の水平線がレジスタンスラインとサポートラインを示しています。
2) シグナルを選別する
銀価格がレンジの下限まで下落すれば、トレーダーは買いに注目し、反対にレンジの上限まで上昇すれば、売りに注目します。レンジ取引戦略のメリットは、トレーダーが狭い値幅の逆指値注文を設定しやすいことです。そのため、リスクを軽減でき、リスクリワードレシオを高めることができます。
3) トレードを実行し、逆指値と利益確定注文を設定する
優秀なトレード戦略には、リスク管理の厳格なルールが必要です。銀価格はサポートレベルやレジスタンスレベルを最終的に突破するため、逆指値と指値注文を利用して、事前にリスクリワードレシオを決定しておくことが重要です。
レジスタンスラインで銀を売る場合は、逆指値注文をレジスタンスラインより上に設定します。同様に、銀を買う場合は、逆指値注文をレジスタンスラインより下に設定します。
逆指値注文を設定すると、保守的なトレーダーはレンジの大部分を利益目標として捉えようとします。リスク管理において重要なことは、ポジティブなリスクリワードレシオを用いることです。リスク管理については、成功しているトレーダーの特長をご覧ください。
テクニカル分析を利用した銀(シルバー)のトレード手法
銀のトレンドやレンジを把握したら、RSI(相対力指数)やチャートパターンなどのインジケーターでシグナルを探し、マーケットに参入するとよいでしょう。使用するインジケーターは、銀のトレード戦略で変わってきます。
下降トレンドにある銀市場で、トレーダーが売りシグナルを探す例を考えてみましょう。以下の銀価格の日足チャートでは、50日移動平均線を下回ってトレードされているため、下降トレンドにあることがわかります。この場合、トレーダーはインジケーターのシグナルが重なるタイミングを待ちます。
以下のチャートでは、3つのインジケーターのシグナルが重なっています。
- RSIが買われすぎの領域から反転した
- 価格がフィボナッチリトレースメント50%まで戻った
- 価格が50日移動平均線に急接近した
マーケットの全体的なトレンドを判断した後に、インジケーターのシグナルの重なりを待つことで、トレードの成功率は高くなります。ただし、トレードの成功を保証するものではないため、リスク管理が重要です。トレーダーは逆指値と指値注文を用いながら、適切なレバレッジを利用することでリスクを管理できます。
銀(シルバー)と金(ゴールド)の違いとは?
銀と金には多くの違いがあります。主な違いは以下の通りです。
- 価格
- ボラティリティ
- 価格上昇のタイミング
- 不況時の値動き
価格
銀と金の主な違いは、まず価格にあります。銀と金は、その価格が全く異なるのです。
例えば、2023年9月現在の1gあたりの銀価格は約120円、金価格は約1万円となっています。
銀は自動車やスマートフォンの部品から、食器まで幅広い用途がある貴金属です。とはいえ、銀の供給量は金に比べて豊富であり、その価格差は非常に大きいのです。
ボラティリティ
銀は金と比較して、ボラティリティが高いことで知られています。前述した通り、銀は金より供給量が多いことから不思議に思う方は多いかもしれません。
とはいえ、銀は金と比べて価格が非常に安く、市場規模も金より小さいです。そのため、大量の資金が流入すると、一気に価格が動いてしまう傾向があります。
過去には銀が乱高下した事例もあり、逆指値注文を入れてしっかりとリスク管理することが重要です。
価格上昇のタイミング
銀価格は金価格に追随することがあります。つまり、金価格が大きく動いた後に、銀価格が付いていくような値動きを見せることがあるのです。
不況や戦争、災害の発生などで投資家が不安になると、安全資産である金に資金が移されます。そして、金価格が上昇すると、割安な銀が投資家に買われ始めるというわけです。
もちろん、必ずそうなるわけではありませんが、銀価格は金価格に追随することがあるということを頭にいれておくと、トレードのチャンスを見逃さずに済むかもしれません。
不況時の値動き
金は不況時に安全資産として買われやすくなりますが、銀は大きく売られることがあります。なぜなら、銀は工業用途としての需要が高いからです。
銀は例えば、エレクトロニクス産業や太陽光発電などで、実需としての高い需要があります。
そのため、銀価格は景気がよくなって工業生産が増えると上がりやすく、逆に景気が悪くなると工業生産が減って下がりやすくなります。一方、金は投資家に安全資産として認識されていることから、銀とは逆の動きを見せるのです。
銀(シルバー)と金(ゴールド)の相関関係
銀と金は相関関係があり、似たような価格変動が見られることがよくあります。つまり、金価格を参考に銀のトレードをすることができるということです。
例えば、金価格が大きく下落していれば、銀も同じように大きく下落するかもしれないと考えることができます。ただし、小さな変動については異なるケースも多く、必ず相関関係が機能するとも限りません。
そのため、銀と金の相関関係は、トレードの判断のあくまで参考として頭にいれておくとよいでしょう。
初心者・上級者トレーダー向け 銀(シルバー)のトレードに役立つ情報
- 主要な市場の時間帯にトレードすると、スプレッドが狭く、低コストで銀をトレードできる。
- リスク管理には、逆指値注文と指値注文を利用する必要がある。また、各トレードで利用する資金は少額に留め、すべてのオープンしているトレードのリスクを資金の5%未満に設定するなどして、リスクを抑えることが推奨される。
- 銀のトレードでは、ゴールド・シルバー・レシオを利用すると優位になる場合がある。
- 銀のセンチメント分析やピボットポイント、チャートを活用する。
- 銀市場で優位に立つために、成功しているトレーダーの特長を一読してほしい。