日銀の金融政策の修正などがあったものの、2023年の日本株は、世界でも際立つパフォーマンスを示した。2024年の注目点、そして日経平均株価の見通しとは。
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推薦者: 木全哲也
日本株、2023年のパフォーマンス
2023年は、FRBをはじめとして急ピッチの利上げからの利上げサイクル停止、中東情勢の緊迫化、米国金利の急変動、世界景気の減速懸念、米シリコンバレー銀行破綻に端を発した金融不安、AIブームなど、様々なイベントが金融市場を揺るがした。
日本では、日本企業の資本効率の改善、賃金上昇などを背景としてデフレからの脱却、コロナショックからの訪日外国人観光客の増加、底堅い日本経済の状況などを背景として、日本株は堅調に推移した。2023年を通して、日経平均株価は、ナスダック100指数、ナスダック総合指数に次ぐ3番目のリターンである。
資料:Trading Viewのデータを用いてDailyFXが作成。12月25日時点。
日本銀行 金融政策
2023年に続き、2024年も日銀の金融政策が日本株にとって重要になろう。2022年末に長短金利操作(イールドカーブコントロール政策)の微修正が行われ、2023年に植田日銀総裁が就任して以降も修正が継続して行われた。
金融市場では、マイナス金利政策の解除が2024年6月までに実施されることが予想されている。日本銀行が金融引き締めを緩やかに実施していくとの見方が強まった場合、日本株のサポート要因になる一方、早期のマイナス金利解除、そしてその後の利上げも積極的に実施していくとの見方が台頭した場合、日本株の下落要因となろう。
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資料:BloombergよりDailyFXが作成。
ドル円の動向
日本株にとって、ドル円の動向にも重要である。ドル円の動向には、日銀に加え、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策が影響しよう。金融市場では、2024年3月までにFRBが利下げを実施すると予想されている。
ただし、FRBの利下げにより、ドル安円高が進展する可能性があるものの、日経平均にとってプラスに働く可能性がある。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
米国景気が底堅く推移する中、FRBの利下げにより米ドル安が進展した場合等は、円高のマイナス効果よりも、FRBの利下げによる金融緩和環境の改善の方が日本株にプラスに働き、日本株が上昇する可能性がある。
2000年以降の米ドル安が進展した局面での日経平均株価と米ドル円の年毎のパフォーマンスを確認すると、米ドル指数(DXY)が3%以上下落した年は計9年あった。米ドル指数が下落しているので、9年の内、6年はドル安円高が進展している。
日経平均は、米ドル指数が3%以上下落した9年の内、2001年と2006年を除き上昇している。
米ドル、日経平均株価、ドル円の各年のパフォーマンス
資料:BloombergよりDailyFXが作成。2000年以降。米ドル指数が3%以上下落し、かつ日経平均が下落した場合を青、日経平均が上昇した場合を緑でハイライト。
日本株(日経平均株価)見通し
日経平均株価は、9,20,50,200カ月指数平滑移動平均線(EMA)が上向き、かつ上から順に並ぶ、強気の「パーフェクトオーダー」が成立している。また、MACDラインがシグナルラインを上回っており、日経平均株価に強気のシグナルを出している。
テクニカル面で強気シグナルが点灯する中、日銀の金融政策の正常化が緩やかに実施され、米国景気が底堅く推移した場合、日経平均株価が上昇することを見込む。2020年3月から2023年1月にかけての日経平均の値動きに基づいたフィボナッチエクステンション61.8%水準34,534円への上昇を見込む。この水準をブレイクすると、心理的節目である35,000円をトライしよう。
日経平均株価が下落した局面では、9カ月指数移動平均線でサポートされるかに注目。サポートされた場合、日経平均の地合いが強いことを投資家に印象付け、再度上昇トレンドに転じることを見込む。
日経平均株価月足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著