エリオット波動理論とは、価格が波のように動くという考えに基づいています。難しい理論と思われがちですが、エリオット波動を使うことにより、相場の動きを予測することができます。また、エリオット波動オシレーターを使えば、手軽に展開している波を数えることができ、次の値動きを知る上で有利になります。
相場はフラクタルです。つまり、パターンの変化によって見分けることができるということです。そして、そこにこそ取引チャンスがあるのです。過去の値動きにもとづいてパターンの変化を予測する方法の一つに、エリオット波動理論があります。
エリオット波動理論とは?
エリオット波動理論とは、米国の会計士であったラルフ・ネルソン・エリオットが提唱したチャート理論です。元々は株式市場の分析から考えられた理論ですが、現在ではFXでも通用する分析手法として、世界中で多くのFXトレーダーが活用しています。
なぜエリオット波動理論を使って取引すべきなのか
エリオット波動理論では、価格は向かっている方向へ「波」のように動くとされます。このツールを使えば、基調的な値動きが変わる前に方向性や衝撃性のある動き3つと修正的な反発や戻りの動き2つに動きを分類して、変化を予測することができます。
ここではエリオット波動がどのようなものかを、簡単なチャートで示しています:
推進波や衝撃波はトレンド(方向性)が生じるところです。トレーダーにとってトレンドは味方ですが、取引をおこなうに値するトレンドを見極めるのとは話が異なってきます。
取引中にトレンドを見極めることは多くのトレーダーにとってストレスであるため、エリオット波動の使用を諦めてしまいます。金(ゴールド)まであと1メートル、というところで採掘を諦めてしまうのはもったいないことです。ここで、最も上手くいく波動パターンの見極め方を学びましょう。
エリオット波動オシレーターはトレンドと全体的な相場のパターンを見極め、取引チャンスを見つけるのに役立つ専門ツールです。
5波の後はどうなる?
エリオット波動理論の基本形は、「推進5波・修正3波」となります。つまり、5波の後は調整が入るということです。
例えば、上昇トレンドであれば1波から5波にかけて上昇し、A波からC波にかけて下落します。現在、相場がエリオット波動理論のどこに来ているのかを考え、値動きを予測してみましょう。
エリオット波動理論の基本となるルール
エリオット波動オシレーターの使用にあたって使い方を説明する前に、エリオット波動理論の3つの原則と5つの波についてお伝えしたいと思います。
- 第2波は、第1波の始点を下に割り込むことはありません。もしこうなった場合は、前のトレンドがまだ継続しているということになります。
- 第3波は、価格の観点から第1波・第5波と比べたとき、そのうちで最も短い波にはなりません。
- 第4波が第2波の範囲と重なることはありません。
この原則を念頭に置いて、パラメーターの設定値は変えずにエリオット波動オシレーターを適用してみましょう。
エリオット波動オシレーターを挿入
適用すると、チャートは以下のように見えます。
米ドル/スイスフラン 日足チャートのエリオット波動オシレーター
このオシレーターは、エリオット波動のパターンと強い相関関係があります。エリオット波動オシレーターを使う際に重要なポイントですが、第3波の着地点がチャートのどこになるかを読み取って、そこで利益を出しましょう。また、エリオット波動オシレーターは全ての時間軸で使用できますが、効果的に機能させるために、十分な価格データを用意しましょう。
チャートに自分で波の番号を表示することもできますが、練習を重ねるうちに表示がなくても波がわかるようになるでしょう。
米ドル/スイスフラン、日足チャートのエリオット波動オシレーター(表示付き)
エリオット波動の一連の動きの中でどの位置に自分がいるのかがわかると、多くの場合、相場の基調的な方向に沿って取引していることに気付くでしょう。これはトレーダーにとっては、楽園に近づいて行く潮の流れに乗って泳いでいるようなものです。
エリオット波動理論の読み方
一般的に、エリオット波動オシレーターのインジケーターと価格が逆行する現象(ダイバージェンス)にともなって新しい波が始まります。このダイバージェンスを利用した戦略については、以下で説明します。今のところは、トレンド転換が起こるのは第1波がよく見つかるポイントだということに留意してください。
相場は浮き沈みを繰り返します。反転または第1波に対して調整が入ったら、これが第2波です。相場は新たな高値や安値に達することはなく、ほとんどの場合は第1波の何割かの部分に重なります。第2波と第4波が修正波になりますが、ここでのチャンスは限られているため、取引は慎重におこなう必要があります。
修正波は、トレーダーがエリオット波動とフィボナッチリトレースメントを組み合わせたものです。
戻り(リトリースメント)が終わると、第3波となる最も力強い値動きが始まります。相場とインジケーターは、新たに高値か安値を更新します。ここでの高値か安値かは、第1波の方向によります。
エリオット波動オシレーターは取引を決済するポイントまでは示しませんので、利益目標を設定するのがベストです。第1波の値動きの100%~161%に目標を設定しましょう。
相場は第5波で高値や安値を更新することがよくありますが、オシレーターは第3波を更新することはなく、ダイバージェンスを生じさせます。エリオット波動オシレーターと価格のダイバージェンスはトレンド転換(反転)に先行するため、この兆しも参考にします。
価格が安値を更新しているにも関わらず、エリオット波動オシレーターが値動きと逆行し(ダイバージェンスを示し)、新たな安値をまだ付けていない場合、エリオット波動理論から第1波が始まる可能性が考えられます。
ダイバージェンスを示すエリオット波動オシレーター
これが見られたら、新たな値動きが始まる地点にいる可能性があります。このパターンや波動を根拠に取引をおこなう場合は、リスクの高い動きであるため慎重に進めてください。
MACD(マックディー)を挿入して値を5、35、5に設定すると、エリオット波動オシレーターが反映されます。クロスを表示するオシレーターの方が取引しやすい場合には、こちらを使用するとよいでしょう。とはいえ、高値・安値の更新とダイバージェンスのパターンからでも波動を見ることはできます。
取引開始のためのシグナルを示すエリオット波動オシレーターとMACDの比較
エリオット波動理論は難しい理論です。時間をかけて、推進波や衝撃波での取引に慣れることが必要です。チャートが高確率な取引チャンスを示したら、しっかりとリスク管理をした上で取引を始めましょう。
エリオット波動理論に関するよくある質問
この項目ではエリオット波動理論に関する知っておきたいことや注意しておきたいことをまとめてご紹介していきます。
- エリオット波動理論とフィボナッチの関係は?
- エリオット波動理論でトレンド転換を判断するにはどうすればいいですか?
- エリオット波動理論が「使えない」と言われる理由は?
- エリオット波動理論でおすすめの本は?
1. エリオット波動理論とフィボナッチの関係は?
エリオット波動理論では、波動がフィボナッチ数やフィボナッチ比率に支配されており、波動同士がフィボナッチ比率の関係になると考えられています。例えば、1波の大きさを1とすると、2波はその0.618を修正するとされています。また、3波は1波の1.618倍となり、4波は3波を0.382修正することから、1波に対しては0.618ということになるのです。5波は1波と同じ1となり、これらが理想とされています。
2. エリオット波動理論でトレンド転換を判断するにはどうすればいいですか?
エリオット波動理論でトレンド転換を判断する場合、価格とエリオット波動オシレーターのダイバージェンスに注目しましょう。例えば、価格が安値を更新しているにも関わらず、エリオット波動オシレーターは逆行しているケースでは、第1波が始まる可能性が考えられます。
3. エリオット波動理論が「使えない」と言われる理由は?
エリオット波動が「使えない」と言われる理由には、難易度の高さや、波のカウントや波の形状の判断に主観が入ること、考案したエリオットが会計士であったことなどが挙げられます。
4. エリオット波動理論でおすすめの本は?
エリオット波動理論を学び易いように体系化した本として、「エリオット波動入門」は長期間にわたって人気を維持しています。邦訳版もあることから、ぜひ読んでみてください。
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