※2024年6月5日14時54分更新
フェイスブック親会社のメタ・プラットフォームズ（META）は、巨額の投資を続けているメタバース事業が苦戦を続けているにもかかわらず、アナリストの多くはメタ社に強気な見方を崩していない。その理由とは？
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競合相手オープンAIに挑む
2024年のメタ株はジェットコースターのようなスタートを切り、まず時価総額1兆ドルを回復したが、第1四半期決算発表後に暴落した。株価急落は、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者（CEO）が「世界をリードするAI（人工知能）アシスタント 」を開発するため、今後数年間で投資額を大幅に増やすと宣言したことが引き金となった。メタ社は4月にAIチャットボットのメジャーアップデートを開始した。フェイスブックやインスタグラム、その他のアプリに組み込み、急速に広まったオープンAIのAIチャットボットである「チャットGPT」に挑もうとしている。
メタバース事業への投資は続く
AIを積極的に追い求める一方で、メタ社はインターネット上の仮想空間であるメタバース、いわゆるバーチャルリアリティ（VR）の世界の構築に多額の投資を続けている。しかし、同社のメタバース部門リアリティラボ（Reality Labs）は数十億ドルの損失を出し続けており、第1四半期だけで38億5,000万ドルの営業損失を計上した。アナリストは、2024年のリアリティラボの損失を約190億ドルと予測している。メタ社は「Meta Quest 3（メタクエスト3）」の発売によりVRヘッドセットの販売シェアは獲得したが、現在はアップルの「Vision Pro」ヘッドセットとの新たな競争に直面している。
収益の98％はデジタル広告収入
AIとメタバースの事業を推し進めているが、メタ社の収益源は依然としてソーシャルメディア広告だ。メタ社の広告収入は収益全体の98％を占めており、グーグルやアマゾンと並んでデジタル広告の売上を独占している。ショートムービープラットフォームTikTok（ティックトック）のような競合がなくなれば、ユーザーの注目獲得と広告費の競争が減り、メタ社にさらなる利益をもたらす可能性がある。
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アナリストは強気見通し
ウォール街のアナリストの多くは、2024年のメタ株に対して強気の見方を維持している。アナリストらは、米ソーシャルメディア大手メタのAIと広告事業の進展に伴い、売上高成長率は18％へ、利益成長率は34％に近づくと予測している。AI事業への投資は、短期的な投資の拡大により利益が圧迫されるとしても、メタ社の将来にとって極めて重要だと見られている。
メタ株をどう取引する？
金融市場のインフラとデータを提供するロンドン証券取引所グループ(LSEG)の分析データ（LSEGデータ＆アナリティクス）によると、メタ株のアナリストコンセンサス評価は「買い」で、強い買いが21名、買いが34名、ホールド6名、売り2名となっている。
資料：LSEGデータ＆アナリティクス
メタ株価 テクニカル分析
メタの株価は年初来で38％上昇し、4月下旬の決算発表後の安値414.50ドルから上昇を続けている。4月24日付けた（急落前の）安値484.58ドルとの価格差を埋めようとしているが、今のところまだ成功には至っていない。
メタ株価 日足チャート
資料：TradingView
史上最高値531.49ドルを再び目指す展開となるには、4月24日の高値510.00ドルを上回る必要がある。
しかし、先週の安値454.46ドルを下回ると、4月の底値とともに2022年11月から2024年6月にかけての上昇トレンドライン、200日単純移動平均線（SMA）が位置する431.96―392.65ドルの再び視野に入ってくるため、テクニカル分析の観点からはあまり好ましい見通しではなくなる。
メタ株価 週足チャート
資料：TradingView
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サムネイル画像：Rokas - stock.adobe.com
