10月は、投資家のリスクセンチメントが悪化する中、日本株は下落した。ドル円は、米国金利上昇を受け、ドル高円安が進行した。足元、日本株はテクニカル面で注目すべき動きが。また、ドル円のドル高要因に大きな変化がみられるが、日経平均、ドル円の11月の見通しとは
サマリー
- 10月の日本株振り返り
- ドル円、ドル高要因に変化
- 日経平均株価、「パーフェクトオーダー」が成立したが11月の見通しは
10月の日本株・ドル円ふりかえり
中東情勢が緊迫化する中、投資家のリスクセンチメントが悪化した月であった。米国では、マッカーシー前下院議長が共和党強硬派によって解任され、政治的不透明感が高まった。また、米国長期金利が2007年以来の5%台まで一時上昇し、様々な資産にとって逆風となり、日経平均株価は、その他の株価指数同様に大幅に下落した。
資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成。
10月はFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策不透明感から米国金利が上昇したことや、投資家のリスクセンチメント悪化を受け、安全資産通貨である米ドルが多くの通貨に対して上昇した。ドル円も米国金利上昇を受け、ドル高円安が進行した。
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資料:Trading EconomicsよりDaily FXが作成。
日本銀行は、10月末に開催された金融政策決定会合にて、金融政策を変更した。インフレ高止まり、円安進行に加え、日本の長期金利が長短金利操作(YCC政策)の上限である1%に近付く中、YCC政策の柔軟化を決定した。長期金利の1%の上限を「目処」とし、1%を超える金利上昇も容認する決定を下した。日本銀行の金融政策変更は事前に予想されていた以上の変更でなかったことから、想定よりは金融緩和的な判断と見なされ、日経平均は上昇、為替は円安が進行した。
また、ドル円が150円を超えて円安が進行する中、10月に日本政府が為替介入の実績が公表された。ドル円が150円を超えた際に急速に円高が進行した局面があったものの、日本政府による為替介入は未実施であることが明らかになった。
11月は日銀会合は開催されないものの、12月会合に向けた政策変更に対する思惑、中東情勢、日本を含めた各国の景気・物価動向がドル円や日経平均株価の変動要因になることが見込まれるが、テクニカル面を踏まえた見通しとは。
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米ドル円の見通し
米ドル円は、週足チャートで、150円を巡る攻防が続いている。しかしながら、MACDにてドル円上昇の勢いが衰えていることを示唆する「弱気の乖離(ダイバージェンス)」が示現している。
また、ドル高のけん引役であった米国金利の上昇に一服感が見られる。11月に入って公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)にて、最近の米国長期金利上昇に対する懸念が示されたことや、FRBの利上げサイクル終了との見方が強まったことが背景にある。米国金利の上昇に寄与してきた原油価格も調整局面を迎えつつある中、米国金利の大幅上昇に伴う米ドル高の可能性は低いとみる。
テクニカル面で弱気シグナルが点灯しつつあることに加え、米国金利上昇の可能性が低下し、日本政府による為替介入に対する警戒感も残る中、ドル円の下落(ドル安円高)を見込む。7月10日の週から10月30日の週にかけてのドル円の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント23.6%水準148.304円への下落が視野に入る。
USDJPY週足チャート
資料:Trading View
日本株見通し
日経平均株価(先物)は、週足チャートで、6月19日の週の高値を起点としたレジスタンスラインに上値が抑えられている。一方、9期間移動平均線が上向きに転じ、9,20,50,200期間移動平均線が上向き、かつ上から順に並ぶ日経平均に強気の「パーフェクトオーダー」が成立しており、テクニカル面では中立である。
中東情勢などの不透明感があるものの、日経平均の逆風となってきた米国金利の上昇に一服感が見られ、テクニカル面で中立である中、日経平均は上下双方に動く展開を想定したい。
日経平均が上昇した局面では、6月19日の週の高値を起点としたレジスタンスライン(現在33,074円)を上方ブレイクできるかに注目。上方ブレイクに成功した場合、日経平均株の下落トレンドが終了、上昇トレンドに転換した可能性が高まる。一方、日経平均が下落した局面では、1月から6月の日経平均株価の動きの基づいたフィボナッチリトレースメント38.2%水準30,749円への下落が視野に入る。
日経平均株価先物週足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著