エヌビディア(NVDA)とビットコインの関係から、米国株に対する投資家のリスクセンチメントの変化が確認できる。また、S&P500と米国国債の関係に注目すべき動き。重要決算を控える中、S&P500の今後の見通しとは。
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【S&P500のターゲット】
上値: 5,137ポイント
下値①: 4,974ポイント
下値②: 4,905ポイント
エヌビディア・ビットコイン、意外な関係
エヌビディア(NVDA)とビットコインの間に直接の関係はない。しかしながら、両者とも、多くの投資家が注目している資産であり、投資家の投資意欲の動向が、両者の価格動向に大きな影響を持つ。
2023年以降、AIブームによりエヌビディア(NVIDIA)の株価は急騰した。ビットコイン(Bitcoin)も、現物ETFの承認などを背景に急上昇した。更に、世界的な投資家のリスク選好が、両者の価格を押し上げ、価格の連動性を高めたと思われる。
AI向け半導体に対する期待値は依然として高いものの、足元両者の価格が下落していることは、投資家のリスクマインドが悪化、リスクオン相場が一旦終了したことを示唆している。
資料:BloombergよりDailyFXが作成
S&P500益利回りと米国債
FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ観測後退を受け、米国10年国債利回りが急上昇し、S&P500益利回り(1株当たり純利益を株価で割ったもの)と逆転した。
このことは、リスクがほとんどない米国国債に対し、S&P500の魅力度が低下したことを示唆している。米国国債と比べた魅力度の低下も、S&P500の下落圧力になっている。S&P500は、3月の史上最高値から約5%下落している。
資料:BloombergよりDailyFXが作成
S&P500種指数の今後の見通し
S&P500種指数は、フィボナッチリトレースメント38.2%水準5,042ポイントを下抜け、下落トレンドが鮮明になっている。9日移動平均線がレジスタンスになっており、上値が重くなっている。また、RSIは、30を上回っており、S&P500に更なる下落余地がある。
投資家のリスクマインドが悪化していることや、米国国債と比べた割高感に加え、テクニカル面で弱気シグナルが点灯する中、S&P500の下落を見込む。
S&P500は、年初からの上昇の半値戻しの水準4,974ポイントへの下落が視野に入る。この水準でサポートされなかった場合、次の下値として、フィボナッチ61.8%水準4,905ポイントへ下落する可能性がある。
テスラを皮切りに、米国大型ハイテク株の決算発表が今後はじまる。企業決算が予想を上回るものが相次いだ場合、投資家のリスクマインドが改善する可能性がある。その場合、レジスタンスとなっている9日移動平均線(現在5,137ポイント)への上昇が視野に入る。
【S&P500のターゲット】
上値: 5,137ポイント
下値①: 4,974ポイント
下値②: 4,905ポイント
S&P500日足チャート
資料:TradingView
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著