※2024年6月7日11時41分更新
エヌビディア(NVDA)の時価総額が3兆ドルを超え、アップルを抜いて世界2位に浮上した。エヌビディアの株価が再び史上最高値を更新したのは、7日の米国株式市場大引け後に10対1の大幅な株式分割を控えているためだ。投資家の注目を集めているこの株式分割とはどんな意味があるのか?
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株式分割前に億万長者がこぞって買い増し
エヌビディア(NVDA)は6月7日を現地権利付最終売買日として1株につき10株の割合で分割を実施する。この分割は、投資家たちの間では株価をより利用しやすくし、株主価値を高める可能性のある動きと解釈されている。しかし、株式分割のメリットが期待される一方で、米国株式市場で現在最も脚光を浴びているAI(人工知能)銘柄のひとつであるエヌビディアへの投資を避けるべき理由を挙げ、注意を促す声もある。とはいえ、複数の億万長者が株式分割を前にエヌビディア株を買い増しているようで、慎重派とは対照的な投資戦略と株価の将来的なパフォーマンスへの自信を示している。
今回の株価上昇は、株式分割を7日大引け後という直前に控え、改めて期待感が高まったことが背景にある。この分割はすでに5月22日に発表された四半期決算で大きな好材料になっていた。エヌビディア株は来週月曜(10日)から分割後の新価格で取引される。
株式分割措置により、エヌビディアの株主は分割前に保有していた株式1株につき9株を追加で受け取ることになり、1株当たりの価値は分割前の10分の1になる。
事実上、この分割により、エヌビディアの株価は5日終値である約1,225ドルから122ドル程度まで下がり、投資家にとってより買いやすい株価水準となる。
エヌビディア株がより身近に
株式分割は、企業の総体的な市場価値や株式の本質的価値を変えるものではない。株主割当による新株発行なため、株価が下がる一方で、株主はそれを補うためにより多くの株式を所有することになる。
株式分割は長年、小口投資家にとって株式をより購入しやすく身近なものにしてきた。だが端株取引のある今日では、その重要性は薄れている。その代わり、分割は現在、主に企業が従業員に株式を付与するのに役立っている。
バンク・オブ・アメリカによれば、今年株式分割を発表した企業はエヌビディアで8社目だ。アルファベット(GOOG)、アマゾン(AMZN)、テスラ(TSLA)といった他の大手ハイテク企業も、株価が高騰する中で株式分割を実施した。
分割により個別銘柄の株価はしばしば市場をアウトパフォームする(株価指数より上昇率が高くなる)。バンク・オブ・アメリカは、2010年以降、個別銘柄は分割後の1年間でS&P500種株価指数を約5%ポイント上回る傾向があることを明らかにした。
「マグニフィセントセブン」と呼ばれる銘柄の時価総額は約15兆ドルに達し、S&P500種指数全体の時価総額45兆ドルの約3分の1を占めている。現在の高値水準でこれらの銘柄に投資するのはリスキーな戦略と慎重派は指摘するかもしれない。
アナリスト評価は「買い」
金融市場のインフラと情報を提供するロンドン証券所取引グループ(LSEG)のデータ& アナリティクスによると、エヌビディア株に対するアナリストのコンセンサス評価は「買い」で、「強い買い」が19名、「買い」が33名、「ホールド」が5名となっている。
資料:LSEG Data & Analytics
エヌビディア株価 テクニカル分析
勢いが勢いを生むため、エヌビディアの株価の急騰は今後も続くと予想され、1,250ドルの大台、そして場合によっては1,300ドルの水準が、7日大引け後の株式分割を控える中、次の上値目標になる可能性がある。
今週の株価レンジ1,174.68―1,166.00ドルや、5月下旬の高値1,158.19ドルが小型サポートとなっている。
エヌビディア株価 日足チャート
資料:TradingView
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