NY金価格は、5営業日連続で上昇し、史上最高値の更新が続いている。しかしながら、金価格の上昇の裏で、米国金利との関係に注目すべき変化が。また、世界最大のゴールドETFにも変化が見られる中、金価格の今後の見通しとは。
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【金価格のターゲット】
上値:2,277ドル
下値①:2,200ドル
下値②:2,160ドル
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -1% | 1% | 0% |
週次 | -7% | 7% | -2% |
NY金上昇
NY金価格は、5営業日続伸し、4月を上昇でスタートした。連日の史上最高値更新であるが、懸念材料も存在する。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
米国金利の動向である。強い米国景気、インフレ高止まりを受け、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が後退、米国金利が上昇している。
金利が付かない金は、米国金利の上昇局面で相対的な魅力度が低下し、金価格の下落圧力となる。
米国金利が上昇している中でも金価格が上昇していることは、ゴールドの上昇が過熱的である可能性がある。
金価格と米国金利(10年国債利回り、軸反転)
資料:Trading View
世界最大ゴールドETF
世界最大のゴールドETF「SPDRゴールドシェア」の動向からも、足元の金価格の上昇へ警報を鳴らしている。
3月に入り、同ETFの口数が増加、ETFを通じて金を保有する投資家が増えていた。このことは、金価格の先行きに強気な投資家が増えていることを示唆、金価格の上昇圧力になっていた。
しかしながら、金価格が一段と上昇する中、ETFの口数が再度減少、金価格の上昇に対して高値警戒感を強めている投資家が増えていることを意味する。
世界最大の金ETFの動向は、金価格に大きな影響力を持っており、一段とETFを売却、金の保有を減らす投資家が増えることで金価格の下落圧力になる可能性がある。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
NY金価格の見通し
NY金価格(スポット、ドル建)は、上昇が続いているものの、RSIは金が買われ過ぎを示す70を大幅に超えている。また、MACDにて、上昇の勢いが衰えていることを示す「弱気の乖離(ダイバージェンス)」が示現している。
テクニカル面で警戒シグナルが点灯する中、高止まりする米国金利が金価格の重荷になる可能性がある。加えて、世界最大の金ETFからも、投資家が高値警戒感を強めていることが示唆される中、金価格は短期的に調整する展開を見込む。
金価格が下落した局面では、2,200ドルへの下落が視野に入る。この水準を下方ブレイクすると、下落圧力が一段と強まり、2,160ドルへ下落する可能性がある。
一方、米国金利が高止まりし、テクニカル面でも弱気シグナルが点灯する中、金価格の上値余地は限定的と見込む。金価格が上昇した局面では、2月から3月の値動きに基づいたフィボナッチエクステンション61.8%水準2,277ドルがレジスタンスとして機能することを見込む。
【金価格のターゲット】
上値:2,277ドル
下値①:2,200ドル
下値②:2,160ドル
NY金スポット価格(ドル建)日足チャート
資料:Trading View
金とビットコインの関係にも注目すべき動きが見られます。3日公表の「NY金、6日続伸、3日連続史上最高値。ビットコインと競い合う。金価格の見通し」をご覧ください。
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著