NY天然ガス価格は、4%超上昇した。豊富な在庫状況などの懸念材料はある一方、年初来で20%超下落するなど、割安感が出たとの見方も広がりつつある。テクニカル面では、2024年に入ってはじめてとなる明るいシグナルが点灯しているが、天然ガス価格の今後の見通しとは。
天然ガスのパフォーマンス
NY天然ガスは、28日に4%超上昇した。潤沢な在庫状況、増産、温暖な気候などを背景に、大幅に下落していたことから、割安感が出たとの見方が天然ガス価格の上昇に繋がっている。
年初来では、依然として20%超下落しており、主要な商品の中で最も下落している。代替エネルギーであり、価格が連動する傾向のあるWTI原油価格が10%近く上昇していることと対照的である。
資料:Trading ViewよりDailyFXが作成。
原油価格はすべての資産に影響します。すべてのトレーダーが注目すべき2024年第1四半期の原油相場見通しの無料ダウンロードはこちらから↓
天然ガス在庫・生産状況
天然ガスの在庫が高水準で推移している、1年前や過去5年の平均と比べると明確である。しかしながら、天然ガスの在庫水準が高いことは、2023年以降続いている状況であり、既に市場参加者に想定され、天然ガス価格に織り込まれていると思われる。
資料:EIAよりDailyFXが作成。
また、天然ガス生産大手のチェサピークエナジーは、価格低迷などを背景に、天然ガスの2024年生産を2023年と比べ30%減少させる計画を発表しており、今後天然ガスの増産傾向に歯止めが掛かる可能性がある。
資料:EIAよりDailyFXが作成。
NY天然ガス価格見通し
NY天然ガス価格は、レジスタンスとなっていた9日移動平均線を明確に上方ブレイクした。また、23年12月以来はじめて20日移動平均線を終値ベースで上方ブレイクしており、上昇圧力が強まっている。加えて、MACDラインがシグナルラインを上抜け、天然ガス価格に強気の「ゴールデンクロス」が示現している。
豊富な在庫水準、高水準の生産は懸念材料であるものの、一定程度、天然ガス価格に織り込まれていると考える。そのような中、年初来でも大幅に下落している状況であり、代替エネルギーであるWTI原油が上昇していることに加え、テクニカル面で明るい兆しを示している中、天然ガス価格の上昇を見込む。
NY天然ガス価格は、1月25日から2月20日にかけての値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2%水準2.042ドルへの上昇が視野に入る。
もっとも、上昇した局面では、需給は引き続き緩んでいることや、利益確定の動きに伴い、天然ガス価格が下落する可能性がある。天然ガス価格が下落した局面では、現在1.724ドルにある9日移動平均線でサポートされるかに注目。サポート転換していることが確認された場合、天然ガス価格の地合いが強まっていることを投資家に印象付けよう。
天然ガス価格のターゲット
上値:フィボナッチ38.2%水準:2.042ドル
下値:9日移動平均線(現在1.724ドル)
天然ガス価格(NG1)日足チャート
資料:Trading View
テクニカル分析をする上で重要な指標の一つにMACDがあります。MACDについて知りたい方は下記の動画をどうぞ!
トレードに役立つ情報を、X(@Tetsuya_DailyFX) で配信中。
また、デイリーFXのX(@DailyFXJapan)やYouTubeにて、経済指標や学習コンテンツなどを配信中。今すぐチェック!
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著