※2024年4月2日11時28分更新
AI(人工知能)株熱と米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派的な方向転換にけん引され、2024年の米国株は好調なスタートを切った。しかし、バリュエーションが高いため、トレーダーも投資家も今後はより選別的な投資が必要になりそうだ。
上場投資信託RSPに上昇余地
AI株ブームとFRBのハト派姿勢を支えに、2024年はスタートダッシュを切った米国株だが、まだ上昇余地がありそうだ。ただバリュエーションが高いため、トレーダーも投資家も今後は投資先を慎重に考えることが必要となってくる。株価指数のトレーダーにとって、これは、S&P500種株価指数に連動するSPDR S&P500(SPY)ETF(上場投資信託)や大型ハイテク株で占められているナスダック100指数に連動するQQQ ETF以外にも、長期的な上昇が見込めそうな魅力的な銘柄が含まれた株価指数を探すことを意味する。
その1つが、RSP(インベスコS&P500イコールウェイトETF)に代表されるS&P 500 均等型指数である。
2023年以降、SPYとQQQがそれぞれ67%と36%上昇しているのに対し、RSPの上昇率は18%未満であり、まだ上昇の余地があることを示唆している。また、RSPのイコールウェイト(均等型)方式は、大型銘柄の優位性を緩和し、米国市場のより広範な銘柄への分散投資を可能にする。
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SPY、QQQ、RSP 週足チャート
資料:TradingView、チャート作成:ディエゴ・コルマン
S&P500均等型指数に投資妙味
4-6月期(第2四半期)にRSPが上昇する要因はいくつかある。米国の経済情勢は安定しつつあり、景気後退懸念は後退している。これは、特にイコールウェイト・インデックス(均等型指数)に多く含まれる中小企業銘柄やこれまで出遅れていた企業銘柄といったリスク資産にとって幸先が良いと言える。
FRBが間もなく緩和政策に移行するという事実も、押し上げ要因と見なすべきだろう。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合でFRBは、ディスインフレの進展が鈍化しているにもかかわらず、今年中に3回の利下げを実施する方針を示した。これは、政策立案者がしばらくの間、インフレ率の上昇を容認してでも、経済成長を優先させる可能性があることを示している。
RSPは、より広範囲にわたったS&P500種指数構成銘柄に連動しているため、投資家にとっては割安な銘柄の発掘につながりやすくなるという利点がある。経済が安定し、FRBの緩和サイクルが近づくにつれ、RSPは第2四半期において堅調に推移する可能性がある。
強気戦略をとるには?
RSP ETFは今期、2022年1月に記録した最高水準を突破し、一時168.00を超える史上最高値を付けた。この直近のブレイクアウトを利用するアプローチとしては、反落を待ち押し目買いの機会を狙うことが考えられる。一度はレジスタンスとして機能した165.00近辺の以前の高水準がサポートとして確認されれば、次の上昇に向けて短期的な底が確立されたことが示唆される。このシナリオでは、168.00に向けた上昇が視野に入りそうだ。さらなる上昇局面では、2023年10月を始点とする上昇チャネルの上限である178.00を突破できるかが注目されよう。
反面、再トライしても165.00を割り込み、下方ブレイクが確立された場合は、強気な見方は損なわれるが、完全に無効となるわけではない。このような状況下では、RSPが足場を取り戻して値を戻す前に、161.10近辺の50日単純移動平均線に向かって反落する可能性がある。しかし、このエリアも下抜けた場合は、売りの勢いが復活し、短期的な強気見通しが無効となる可能性がある。
RSP 週足チャート
資料:TradingView、チャート作成:ディエゴ・コルマン
--- DailyFX.com マーケットストラテジスト ディエゴ・コルマン著
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