DailyFXのアナリスト・ストラテジストが、2024年第1四半期のトレードチャンスについて解説。ストラテジスト ウォレン・ベンケタスは英ポンド/米ドルに注目する。
前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)がより緩和的な発言をしたことで、市場が「ハト派寄りな姿勢」に反応したため、2024年の初めにおいて英ポンドは米ドルに対し比較的強い見方ができるだろう。ただし、直近の英国の経済指標は総合インフレ率とコアインフレ率の両方が激しく低下し、インフレ傾向の著しい変化を示した。それまで英国は、先進国の中でもインフレが続く特殊な経済国とされていた。
イングランド銀行(中央銀行、BOE)は現在、経済に刺激を与えたり、インフレ圧力を再燃させないよう利下げのタイミングを計るという、より複雑な課題を抱えている。今のところ市場は2024年5月に最初の利下げが始まり、年末までに累積で134ベーシスポイント程度の金利低下を予測している(下表参照)。だが、インフレ率の低下が長引けば、この利下げ開始は早ければ2月に前倒しされる可能性がある。
BOE(イングランド銀行)の政策金利見通し
出所: Revinitiv、チャート作成:ウォレン・ベンケタス
米ドルの観点からは、ハト派的なジェローム・パウエルFRB議長に対する市場の反応は、早計すぎるものかもしれない。ウクライナとガザでの戦争を含む外的なリスク要因を考慮すると、どんなにわずかな金利の引き上げであろうと、利上げは米ドルの安全資産としての魅力を高める可能性がある。フェデラルファンド(FF)金利先物は2024年12月までに150ベーシスポイントの利下げを示唆しているが、この予測には一部のFRB当局者からは反発の声が挙がっている。現在の価格設定に対するリスクは、緩和サイクルが弱まることで、最終的に英ポンド/米ドルが下落する可能性を高めるだろう。
テクニカル分析による英ポンド/米ドルの見通し
週足の英ポンド/米ドル相場は、2023年7月中旬のブレイクアウトに失敗した後、しばらくの間、200週移動平均線(青)を試している。いずれはこの水準を上抜けると見ているが、第1四半期はまだ時期尚早と言える。とはいえ、最も重要なのは今後発表される指標であり、終値でこの水準を上回れば、最近の上昇相場継続が促される可能性がある。
英ポンド/米ドル 週足チャート
出所:TradingView、チャート作成:ウォレン・ベンケタス
英ポンド/米ドルはスイングハイ(高値)1.2746付近のレンジ相場となっているが、RSI(相対力指数)が買われ過ぎの領域から下降していることから弱気のダイバージェンスを示し、反落する可能性がある。2024年第1四半期に大きな動きは期待できないが、市場は第1四半期前半に少し戻した後、四半期後半にかけて現在の水準付近に落ち着くだろう。
英ポンド/米ドル 日足チャート
出所:TradingView、チャート作成:ウォレン・ベンケタス
重要なレジスタンスレベル:
- 1.2900
- 1.2848
- 1.2746
重要なサポートレベル:
- 1.2500:200日移動平均線(青)
- 1.2400:50日移動平均線(黄)
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