DailyFXのアナリスト・ストラテジストが、2024年第1四半期のトレードチャンスについて解説。アナリスト ザイン・バウダは、米ドル/円相場に注目する。
米ドル/円は売り:利下げ期待の高まりと日銀の為替介入
米ドル/円は、2023年第4四半期から売り取引を支持している。この方針によって、2023年第4四半期には最終的に大きな利益をもたらしたが、2024年にも米ドル/円を再度押し下げる余地はまだ大きく残っていると見ている。詳しくは、2023年第4四半期の「注目のトレード機会」の解説を読むことをお勧めする。
米ドル/円は2023年第4四半期の前半は高値を維持したが、最終的に2022年の高値付近から下落した。11月末にかけて、日銀の政策転換を懸念する声が高まったことで円売りが優勢となったが、2023年12月19日の日銀会合後は、現在の金融政策が維持されている。
日銀の12月会合での発言にもかかわらず、2024年第1四半期には政策転換の期待が高まると予想している。日銀の植田和男総裁は最終的に、市場が期待している金融政策の転換を行う可能性が高い。たとえ第1四半期に実現しなかったとしても、米ドル/円は市場の期待を織り込むはずだ。第1四半期に注視すべき重要な指標は、植田総裁が何度も強調してきたように賃金の上昇率である。インフレ率を上回る持続的な賃金上昇は政策転換の前兆であり、また政策転換への市場の期待だろう。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)はすでに、2024年に75ベーシスポイントの利下げを見込んでいると表明している。だが、これらの利下げのタイミングが現在の市場を動かしており、米国のインパクトの強い経済指標が発表になる度に続く可能性がある。なお、インフレ率は低下するか現在の水準に近いところで推移すると予想している。主なリスクは再びサプライチェーンを停滞させる可能性のある地政学的なものであり、インフレ圧力を引き起こしかねない。したがって2024年のFRBの利下げは遅れ、それが米ドルを下支えする可能性がある。しかし、第1四半期は米ドル安が続くと見ており、米ドル/円は売り取引が優位に働くだろう。
テクニカル分析による米ドル/円の見通し
テクニカル分析に目を移すと、直近の急落後、現在は高値圏で推移しており、それぞれ142.00と145.00に位置する重要なサポートラインとレジスタンスラインの間で取引されている。152.00の水準に迫る高値からの大幅な急落を考慮すると、売り取引の機会を探す前に大きなプルバック(引き戻し)が起きると考えたほうがよいだろう。
米ドル/円 週足チャート
出所:TradingView、チャート作成:ザイン・バウダ
日足チャートに注目して、売り取引に適した重要な水準を紹介する。146.50付近での売り取引よりも、リスクとリターンの比率が期待できるのは、50日と100日移動平均線に再び試したタイミングである可能性が高い。
もう1つのシグナルは、50日移動平均線が100日移動平均線を上から下に抜け交差するデッドクロスのパターンである。これらの水準を上抜ければ、150.00が注目される。そして現段階では、152.00に位置する以前の高値をブレイクした場合、このシグナルは無効になるだろう。
米ドル/円 日足チャート
出所:TradingView、チャート作成:ザイン・バウダ
サポートレベル:
- 142.00
- 140.00(心理的節目)
- 138.70
- 135.00
レジスタンスレベル:
- 146.50
- 147.50
- 150.00(心理的節目)
- 152.00(2022年の高値)
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