日本銀行、そしてFRBの金融政策を巡る不透明感が高まっている。為替市場でも、政策修正に伴うドル円の下落に対する警戒感が急速に高まっている。ドル円は一時141円台までドル安円高が進行したが、日銀が政策修正を実施した場合の影響は。日銀会合、FOMCを控えたドル円の今後の見通しとは
ドル円市場、日銀、FOMCに警戒
日本銀行の金融政策決定会合(12月18~19日開催)に対する不透明感が高まっている。先週の植田日銀総裁、氷見野日銀副総裁の発言を受け、マイナス金利の解除を含む、金融政策の修正を行うとの思惑が一部で高まっている。
為替市場では、ドル円が7日に一時141円台に下落(ドル安円高)し、足元146円台まで一時回復したものの、7日の植田日銀総裁の発言前と比べ、ドル安円高が進展している。そして、FOMC(米連邦公開市場委員会、12~13日)、日銀会合を控える中、ドル円の変動に対する警戒感が高まっている。
資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成。
これは、ドル円の変動に対する警戒感、インプライドボラティリティ、円高に対する警戒感、リスクリバーサルを見ればわかる。日銀総裁、副総裁の発言以降、インプライドボラティリティが急速に上昇している。また、リスクリバーサルもマイナス幅を拡大しており、円高に対する警戒感を強めている。
ただし、7月会合と比べて警戒感は低く、為替市場では、政策修正なしとの見方が優勢であることを示唆している。そのため、日銀が金融政策の修正を実施した場合、為替市場のサプライズとなり、ドル円は一段と下落(ドル安円高)する可能性が高い。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
もっとも、全国消費者物価に先行する傾向のある東京消費者物価指数は、インフレ鈍化傾向が鮮明である。
資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成。
また、インフレにとって重要な実質賃金の伸びがマイナスで推移する中、日本銀行が12月会合にてマイナス金利解除に踏み切る可能性は低いとみる。このような中、今後のドル円の見通しとは。詳しく見てみたい。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
米ドル円(USDJPY)の見通し
ドル円は、一時141円台まで下落(ドル安円高)したものの、200日指数移動平均線でサポートされ反発している。しかしながら、9日指数移動平均線がレジスタンスとして機能しており、ドル円の上値が重い。RSIは50を下回り、ドル安円高モメンタムであることを示唆している。
テクニカル面で弱気シグナルが点灯する中、日銀会合の結果が公表されるまでは、日本銀行の金融政策不透明感からドル円の上値が重い展開が継続することを見込む。ドル円が下落した局面では、心理的節目である145円でサポートされるかに注目。下方ブレイクした場合、ドル円は200日指数移動平均線への下落が視野に入る。
ただし、FOMCの結果がドル高円安要因となる可能性がある。FOMCにて、FRBが高い政策金利を当面維持するとの思惑が高まり、米国金利が上昇した場合、ドル円は上昇(ドル高円安)が進展しよう。その場合、9日指数移動平均線を上方ブレイクできるかに注目。上方ブレイクに失敗した場合、日銀会合を18~19日控える中、ドル円の上値が重い展開が継続することを見込む。
USDJPY日足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著