銀は、宝飾品や電子機器などに幅広く利用されている非常に人気の高い商品です。希少性では金に及びませんが、世界で最も価値ある金属の一つとして認識されており、また世界で最も取引されている商品の一つでもあります。本記事では、銀の用途、マーケットの歴史と仕組み、そして銀価格に影響を与える要因についてご紹介します。
銀価格のリアルタイムチャート
1g・1トロイオンスあたりの銀価格は?
2024年1月18日現在の1gあたりの銀価格は、約113円(約0.76ドル)ほどです。また、1トロイオンスあたりの銀価格は約3500円(約24ドル)となります。
最新の銀価格は、こちらのリアルタイムチャートでご確認いただけます。
銀価格の10年間の推移
銀価格の10年間の推移をチャート(グラフ)で示すと、以下のようになります。
2013年から2019年まではあまりぱっとしなかった銀価格ですが、2020年には急騰を見せました。価格上昇の要因としては、新型コロナウイルスの感染拡大が挙げられます。銀は有事に対する備えとしての需要もあり、コロナショックは銀価格に大きな影響を与えたのです。
ただし、2022年は米国が大規模な金融刺激策の縮小を始めるとの観測が広がり、インフレ対策として銀に流入していた資金が引いていくことになりました。2023年は米ドル高が抑制され、世界経済の悪化懸念も加速したことで再び勢いを取り戻しました。
銀価格の5年間の推移
銀価格の5年間の推移をチャートで示すと以下のようになります。
銀とは?何に活用されている?トレードの方法は?
銀は宝飾品のほか、インテリアなどの製品や電子機器などにも使われる貴金属です。銀はバーやコイン、地銀を購入したりすることで、現物に投資することができます。化学記号はAgですが、金融市場ではXAGという通貨コードが使われています。
最新の銀のチャートは、経済の健全性を示す指標になります。またマーケットの実勢価格は、主要な商品や通貨ペア、株などの様々な金融市場における値動きを予測することにも役立ちます。
資産クラスとしての銀の歴史と取引価格の動き
資産としての銀の歴史は、紀元前3,000年に最初の採掘が確認されて以来、何千年も続いています。銀の人気の高まりとともに世界中に採掘が広まったことで、銀の用途や価値は拡大していきました。19世紀末にはそうした需要を満たすために、年間1億2千万トロイオンスもの銀が生産されました。
市場価格の記録が開始されたのは、1970年代のことです。当初の価格は、1トロイオンスあたり1.80ドルでした。銀の価値は1980年代初頭に36ドルまで上昇しましたが、すぐに10ドル以下にまで落ち込み、20年以上もその状態が続きました。その後、2008年の金融危機の際には約2倍の20ドルまで上昇し高値を記録しましたが、その直後に再び下落しました。銀の価格が最高値を記録したのは2011年のことで、1オンス50ドル近くまで上昇しました。
金融危機後の銀の取引価格動向
下のチャートは、2008年の金融危機後、数年間にわたる特に価格変動の激しかった時期における銀の価格の変動を示しています。
銀の取引価格に影響を与える要因
銀の価格に影響を与える主な要因は、需要と供給、世界経済、金銀比価などです。
需要と供給
他の商品と同様に、銀の価格に大きな影響を与えるのは需要と供給です。全世界で年間平均27,000トンの銀が採掘されており、中国、メキシコ、ペルーが高い生産量を占めています。また、米国や英国、インドなどの大規模な輸入国では、年間29,000トンにものぼる需要があります。このような需要の増加や減少、または不均衡のいずれかが起こると銀の相場が変動します。
銀の需要の大部分は、産業用途の拡大によるものです。銀は金属の中で最も高い導電性があるため、ソーラーパネルなどの持続可能なインフラにおける重要な構成要素になっています。また、医療分野においても銀の用途は多岐にわたります
経済的要因
銀の価格は、世界経済の影響も受けます。景気の良い時期には電子機器や宝飾品、銀の部品が使われている自動車などでより多く消費されるため、価格が上昇します。さらに、経済危機や政治危機の際においても、「より安価」で安全な資金の避難先として価格が上昇します。
金銀比価(金と銀の価格差)
金銀比価は、1オンスの金を購入するのに必要な銀の重量をオンスで表したものです。2019年半ばには、金銀比価が90に達しました。つまり、1オンスの金を買うのに90オンスの銀が必要ということです。このことから、銀は金に比べて長い間、割安で取引されて来たことが分かります。金銀比価が上がると、一般的に金と比べて安価な銀が好まれます。通常は比率が下がれば金が好まれるので、銀を金に交換することが多くなります。
銀と米ドル
銀と米ドルは逆の関係にあります。これは、ドル安になると他国が銀を安く購入できるため、XAGの価格が上昇するケースが多いからです。つまり、ドル安になると銀の価格は上がります。銀の価格が高騰すると、その影響で貴金属全体としては下がる傾向にあります。
銀は米ドルと逆相関の関係にあるため、インフレヘッジとして人気があります。紙幣の価値が下落しても銀は価値を維持しているので、銀に投資することで損失を防ぐことができます。しかし、これはドル高が銀の価格に下向きの圧力をかけることにもなります。
銀の価格はこれからどうなる?
米国の連邦準備制度理事会(FRB)は2024年から利下げを開始すると予想されており、これによってドルの価値が下がれば銀には追い風になります。ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢などによって、安全資産として銀が注目される可能性もあります。
ハイテク機器などを始めとする工業需要も伸びていくことが予想され、銀は今後注目すべき投資対象であるといえるでしょう。
銀の取引方法
銀は現物資産としての購入をはじめ、商品市場での先物やオプション、ETF(上場投資信託)など、さまざまな方法で取引されています。可能な場合はCFDを用いて、銀の価格の上下を推測する取引もできるでしょう。
詳しくは、銀の取引方法で説明しています。また、安定した取引戦略についても学ぶことができます。
なぜ銀の取引をするのか?
銀は、以下の理由からトレーダーに人気のある商品になっています。
- 米ドル安を利用してインフレをヘッジする
- 世界規模の強い産業と需要の増加に投資したい
- ポートフォリオの多様性を維持する
銀の取引や価格に関するよくある質問
この項目では、銀の取引や価格に関する知っておきたいことや注意しておきたいことをまとめてご紹介していきます。
- 10年後の銀の価格はどうなりますか?
- 銀価格が高騰する理由は?
- 銀が価格操作されているというのは本当ですか?
- 金価格は銀価格の100倍以上になったことがありますか?
- 金と銀は今後どちらが高くなりますか?
1. 10年後の銀の価格はどうなりますか?
世界の人口が増え続け、東南アジアやアフリカの富裕層が増加する見通しであることを考えると、長期的には需要が伸び続けて銀価格は上昇すると考えられます。その他、ハイテク機器などを始めとする工業製品の需要も伸びることが期待できます。
2. 銀価格が高騰する理由は?
銀価格は、高インフレや経済危機の際などに高騰することが多いです。
3. 銀が価格操作されているというのは本当ですか?
以前、独金融大手ドイツ銀行が、国際商品市場で銀価格を不正に操作していたとして投資家から損害賠償を求められたことがありました。しかし、現在もこのような価格操作がおこなわれているかというと可能性は低いかもしれません。
4. 金価格は銀価格の100倍以上になったことがありますか?
金銀比価は、2020年に100倍を超えたことがあります。
5. 金と銀は今後どちらが高くなりますか?
金と銀について今後どちらが高くなるかを予想することは難しいですが、銀は金より市場規模が小さいことから、金に比べて大きく上昇することがあります。ただし、値動きが大きいということはリスクにもなるため、リスク管理に注意しましょう。
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