※2024年6月27日14時43分更新
28日夜(日本時間)に発表される米個人消費支出(PCE)。FRBが重視する指標なだけに、金融政策の方向性、ひいては金融市場の先行きを決める大きな手掛かりとして注目されている。米PCE予想を踏まえたS&P500およびドル相場の見通しを探る。
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現在は市場とFRBの認識にズレ
5月の米PCE物価指数は明日28日(日本時間21:30)に発表される。米連邦準備制度理事会(FRB)が注視しているこの物価指数は、年内に2回の利下げを見込んでいる市場の金利予想が過度にハト派的なのかどうかを検証する材料となる。
今のところ、市場は9月に25ベーシスポイントの利下げ、12月に2回目の利下げを実施する確率を60%としている。一方、FRBメンバーが予想する中央値は年内1回のみの利下げに傾いている。これは、今後の経済データ次第で、現在のズレが修正される余地があることを示唆している。
予想誘導金利
資料:リフィニティブ、2024年5月26日現在
インフレ率は一段と緩和へ
現在の予想では、PCE総合指数、コア価格指数の伸びがともに前年同月比2.6%で、4月の2.7%、2.8%からは若干の緩和が見込まれている。これが実現すれば、コアPCEは2021年4月以来の低水準となる。
前月比の伸び率では、コアPCEは0.1%と、4月の0.2%から低下が予想されている。総合指数は、4月の0.3%から横ばいとみられている。
米消費者物価と生産者物価は予想を下回ったが、警戒感は残る
5月の米消費者物価と米生産者物価の両方が予想を下回ったことから、米PCEデータもインフレの進展を反映する素地が整ったように見える。今月初め、米コアCPI(消費者物価指数)の上昇率は3.4%と、2021年5月以来の低い伸びを記録した。
とはいえ、インフレ率は依然としてFRBの物価目標である2%を上回っている。FRBは政策の柔軟性を保つため、政策金利を「しばらくの間」据え置く考えを維持する可能性がある。しかし少なくとも、インフレがさらに進展すれば、追加利上げを見送る一助になるかもしれない。追加利上げ案は、インフレが現在の水準で停滞した場合の選択肢として、最近FRB当局者が提案し、再浮上している。
米国株式市場にとっての下振れリスクは、インフレ率が上昇に転じることである。特に今週はカナダとオーストラリアで、高水準で推移するインフレ率が確認され、物価上昇圧力を手なずけるのは依然として難しいという現実を市場は改めて突き付けられている。また、コモディティ価格が最近上昇傾向にあることも、今後のインフレリスクを高めている。
注目すべき資産:ドル
ドル相場は、月初にトレンドライン(サポート)を騙しでブレイクした後、高値と安値の切り上げを継続し、引き続き底堅さを見せている。日足チャートのRSI(相対力指数)では、下降トレンドラインを最近、上方ブレイクしており、モメンタムが強気へ転換する可能性を示している。
現在のトレンドが続けば、ドル/円は年初来高値である106.12を再び試すかもしれない。一方、下降局面では、2023年12月以来の上昇トレンドラインが当面のサポートとして維持されるだろう。
米ドル指数
資料:IGチャート
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -2% | 3% | 1% |
週次 | -1% | 0% | 0% |
注目すべき資産:S&P500
買われ過ぎの状態から一息ついた後、S&P500種株価指数は急速に足場を取り戻した。巨大ハイテク株に傾倒するトレンドは続いており、買い手は5,500の再トライを狙うかもしれない。下降局面では5,330がサポートとなる可能性がある。この水準には、幅広い上昇チャネルの下限トレンドラインがあり、日足一目均衡表の雲ゾーンのサポートも位置している。全体として上昇トレンドは維持されているようで、調整局面での押し目買いが望ましい投資戦略と言える。
S&P500 日足チャート
資料:IGチャート
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