FOMC、OPEC会合を控える中、WTI原油価格は2カ月ぶりの高値まで上昇している。注目イベントを控えた原油価格の今後の見通しとは。
原油、2カ月ぶり高値
WTI原油価格は、注目イベントであるFOMC(米連邦公開市場委員会、30~31日開催)、OPECプラス会合(2月1日に開催予定)を控える中、小動きが続いていたものの、23年11月以来はじめて終値ベースで76ドル(1バレル)を上回った。
世界最大の原油消費国である米国の第4四半期GDPが市場予想を上回り、原油の需要が底堅く推移するとの見方が原油価格の上昇圧力となった。
また、世界有数の原油消費国である中国が、銀行の預金準備率を引き下げるなど、景気対策に乗り出していることや、紅海でのフーシ派による妨害行為を受け、原油の海上輸送が引き続き混乱していることが、原油の需給が引き締まるとの見方に繋がった。
資料:Trading ViewよりDailyFXが作成。
また、世界最大の原油生産国でもある米国原油在庫データも原油の需給が引き締まるとの見方をサポートしている。
ファンダメンタルズ、テクニカル両面に基づいた2024年第1四半期の原油相場見通し【完全版】の無料ダウンロードはこちらから↓
米国:原油在庫
米エネルギー情報局(EIA)が週次で米国の原油在庫の状況を公表している。寒波に伴い、油井の操業が停止していることを受け、原油生産、そして原油在庫が大幅に減少している。
資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成。
WTI原油価格の見通し
WTI原油価格(1バレル)は、強固なレジスタンスであった76ドルを終値ベースで上方ブレイクした。また、9日移動平均線(MA)が50日移動平均線を上抜け、原油価格に強気の「ゴールデンクロス」が示現している。
WTI原油価格は、2023年11月以降のレジスタンスである200日移動平均線の上抜けをトライしている。このレジスタンスの上方ブレイクに成功した場合、原油価格の強気シグナルが一つ増え、上昇圧力が強まることを見込む。
テクニカル面で強気シグナルが点灯する中、FOMC、OPECプラス会合を受けて76ドルを終値ベースで上回れるかに注目。サポートされた場合、原油価格の地合いが強まっていることを投資家に印象付けよう。その場合、2023年9月から12月の原油価格の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2%水準78.2ドルを上方ブレイクし、心理的節目である80ドル台への上昇が視野に入る。
一方、FOMCにてFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が後退した場合や、OPECプラス会合を受けて原油の需給が緩むとの懸念が強まった場合、原油価格が下落する可能性がある。その場合、9日移動平均線でサポートされるかに注目。この水準を下方ブレイクすると、対称三角形(シンメトリカルトライアングル)パターンの上方トレンドラインへの下落が視野に入る。
WTI原油価格日足チャート
資料:Trading View
米ドルの動きは、すべてのトレーダーが注目すべき、市場を動かす重要な要素です。2024年第1四半期の米ドル見通し【完全版】の無料ダウンロードはこちらから↓
新たなレポートの配信等はX(旧twitter)アカウント@DailyFXJapanで確認できます。
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著