WTI原油価格は、2023年10月以来はじめて、一時87ドルに上昇。イスラエルとイランの対立が激化したことに加え、ロシア・ウクライナ情勢が一段と緊迫化したことなどが、原油価格を押し上げた。イランは、世界有数の原油生産国であるが、原油価格の今後の見通しとは。
【原油価格のターゲット】
上値①:89.85ドル
上値②:87.24ドル
下値①:85.00ドル
下値②:83.60ドル
世界大戦の危機
イスラエル軍によりシリアにあるイラン大使館周辺が空爆されたことを受け、イラン大統領がイスラエルの報復を示唆。更に、イスラエルのネタニヤフ首相は、イランによる報復行動に対して更なる攻撃を示唆したことから、中東情勢が急速に高まった。
また、ブリンケン米国務長官が、ウクライナは、ロシアと対立するNATOに加盟する見通しを示したことから、NATOとロシアの衝突の可能性が高まったとの懸念が強まった。
中東やロシアなど、原油産出国を中心とした地政学リスクの高まりを受け、原油価格は4月に入って4%上昇している。銀、銅に次ぐ上昇率であり、WTI原油価格は2023年10月以来はじめて、一時87ドル台に上昇した。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
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イランの重要性
イスラエルとイランを巡る情勢がどのように進展していくかは不透明なものの、状況が悪化した場合、原油供給に大きな影響が出る可能性がある。
イランは、反米姿勢が明確であるが、石油輸出国機構(OPEC)の中での原油生産のシェアは、サウジアラビア、イラクに次ぐ生産量である。
中東情勢が悪化し、イランの原油生産が滞った場合、世界的な原油の供給減、原油価格の上昇圧力となる可能性がある。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
WTI原油価格の見通し
WTI原油価格(1バレル)は、相場の転換点となることがある「同時線」が示現後も上昇し、一時5か月ぶりの87ドル台まで上昇した。50日移動平均線が200日移動平均線を上抜け、原油価格に強気の「ゴールデンクロス」が成立した。一方、RSIは買われ過ぎを示唆する70を超えている。
世界的な地政学リスクの高まりは、原油価格の上昇圧力になる一方、テクニカル面で一部警戒シグナルが出ていることから、WTI原油価格は上下双方に動く展開を想定したい。
原油価格が上昇した場合、2023年10月9日高値87.24ドルへの上昇を見込む。上方ブレイクに成功した場合、次の上値として10月20日高値89.85ドルへ上昇する可能性がある。
一方、原油価格が下落した場合、85ドルでサポートされるかに注目。この水準でサポートされた場合、原油価格の地合いが強いことを投資家に印象付けよう。サポートされなかった場合、23年11月3日高値83.60ドルへの下落が視野に入る。
【原油価格のターゲット】
上値①:89.85ドル
上値②:87.24ドル
下値①:85.00ドル
下値②:83.60ドル
WTI原油価格日足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著