OPECプラスが減産を延長するとの思惑から、WTI原油価格は上昇した。3月上旬に開催予定のOPECプラス会合への期待感が高まっている。このような中、WTI原油価格の今後の見通しとは。テクニカル面で、注目すべき動きが見られる。
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WTI原油2日続伸
WTI原油価格は、中東情勢が緊迫化していることに加え、OPECプラスが3月までの減産を、4-6月も継続することを検討するとの報道が伝わり、原油の需給が引き締まるとの見方から、2日続伸した。
年末まで減産を続けることも可能と関係者の話として伝えられている。3月上旬にOPECプラスが会合を開催し、減産延長の是非を検討する模様である。
資料:Trading ViewよりDailyFXが作成。
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原油生産動向
原油の生産動向は、OPECプラスとその他の国で大きく異なっている。世界最大の原油生産国である米国は原油の増産が続いている。
米国の増産を相殺するべく、サウジアラビアやロシアを中心としたOPECプラスは、原油の減産を進めている。
OPECプラスが4-6月も減産延長することが決定した場合、原油の需給が引き締まるとの見方が一段と強まる一方、OPECプラスの中でも減産に対して否定的な意見も見られ始めている。
23年12月には、アンゴラが減産に反対したことなどを背景に、OPECから脱退した。減産を実施することで、原油輸出に伴う収入が減ることが背景にある。他のOPEC加盟国の中にも、同様の不満を持っている国がいると思われ、OPECも一枚岩ではなく、減産の行方は不透明感が漂う。
そのため、3月上旬に開催予定のOPECプラス会合まで、減産を巡る思惑が原油価格に大きく影響する展開が見込まれる。ただし、テクニカル面では原油価格にとって明るい兆しが出ており、減産が打ち切られるとの見方が強まらない限り、価格は底堅く推移する可能性がある。詳しく見てみたい。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
WTI原油価格の見通し
WTI原油価格(1バレル)は、200日移動平均線を明確に上方ブレイクし、上昇圧力が強まった可能性がある。また、9日移動平均線が200日移動平均線を上抜け、原油に強気の「ゴールデンクロス」が示現している。
テクニカル面で明るい兆しが出ている中、減産打ち切りとの見方が強まらない限り、原油価格の上昇を見込む。WTI原油価格は、1月29日高値79.29ドルへの上昇が視野に入る。レジスタンスとなっている79.29ドルの上方ブレイクに成功した場合、WTI原油価格の上昇圧力が一段と強まる展開を見込む。
一方、原油価格が下落した局面では、200日移動平均線がサポート転換しているかに注目。サポート転換していることが確認された場合、原油価格の地合いが強まっていることを投資家に印象付けよう。一方、下方ブレイクした場合、200日移動平均線の上方ブレイクは一時的な「だまし」であったことを印象付け、同移動平均線を巡る攻防が再開する展開を見込む。
WTI原油価格日足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著