原油在庫の増加を受け、WTI原油価格は下落した。しかしながら、在庫データの中には明るい内容も。価格動向に敏感なヘッジファンドに注目すべき動きが。原油価格の今後の見通しとは。
原油・ガソリン在庫&パフォーマンス
米エネルギー情報局(EIA)より、週間原油・ガソリン在庫データが公表された。原油在庫が大幅に増加したことを受け、14日にWTI原油価格は下落した。7営業日連続で上昇していたことの反動も価格低下圧力になった。
資料:Trading ViewよりDailyFXが作成。
ただし、米国景気が底堅く推移していることなどを受け、ガソリン在庫が減少した。原油を精製して作るガソリン在庫の減少は、将来的な原油需要の増加を示唆する。ガソリン在庫の減少は、価格の押し上げ要因になり、価格のサポート材料となった。
資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成。
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また、中東情勢の緊迫化は、原油の供給が不安定になるとの思惑から原油価格を下支えした。イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラム組織ハマスとの和平交渉を拒否した。ネタニヤフ首相は、和平に向けたハマスの要求が「妄想」だとしてはねつけた。
原油先物のヘッジファンドポジション
原油価格動向に敏感なヘッジファンド等(投機筋)は、直近1週間、原油価格に強気のロングポジションを削減している(原油先物を買い持ちを解消、価格の低下圧力)。
ただし、弱気のショートポジションは増やしていない。ヘッジファンドは、原油価格に対して弱気見通しに転換しておらず、最近の上昇を上昇を受け、ロングポジションの一部利益確定を図っていることを示唆している。
また、過去と比べてロングポジションの水準が低いため(下左図)、一段と削減する余地は限定的である。このことは、ヘッジファンドのポジションは、原油価格にとって中立である。
資料:CFTCよりDailyFXが作成。
WTI原油価格の見通し
WTI原油価格(1バレル)は、200日移動平均線を一時上方ブレイクしたものの、その後反落し、移動平均線を巡る攻防が続いている。
ヘッジファンドポジションは中立であるものの、200日移動平均線を再度上抜けた場合、原油価格の地合いが強いことを投資家に印象付け、上昇圧力が強まることを見込む。その場合、WTI原油価格は、1月29日高値79.29ドルへの上昇が視野に入る。
ただし、イスラエルとハマスの和平交渉は遠のいたものの、状況が一転する可能性がある。中東情勢に緩和の兆しが見られた場合、原油供給が安定するとの思惑から、価格の下押し圧力になろう。その場合、WTI原油価格が、フィボナッチリトレースメント38.2%水準74.42ドルへ下落する可能性がある。
WTI原油価格日足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著