WTI原油とNY天然ガスの明暗が分かれている。天然ガスは心理的節目である2.0ドルを下回り、2023年の安値に接近している。原油、天然ガス価格の今後の見通しとは。
原油パフォーマンス
WTI原油価格が3日連続で上昇している。イスラエルのネタニヤフ首相がハマスとの休戦案を拒否し、中東情勢が緊迫化していること、米国の2024年の原油生産が米エネルギー情報局（EIA）により下方修正されたことが背景にある。
また、米国の原油、ガソリンの週間在庫データにて、ガソリン在庫が大幅に減少し、原油需要が伸びるとの思惑も原油価格のサポート要因となった。ガソリンは、原油を精製して作られるため、ガソリン在庫の減少は、将来的な原油需要の増加を示唆する。
資料：Trading ViewよりDailyFXが作成。
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天然ガスパフォーマンス
NY天然ガスは苦境が鮮明になっており、心理的節目である2.0ドル（1MMBtu当たり）を下回った。天然ガス価格は、2023年の安値に接近している。1月に寒波の影響で停滞していた天然ガス生産が再び増加傾向にあることから、天然ガスの需給が緩むとの懸念が背景にある。また、米国の気温が例年と比べて暖かいことが予想され、天然ガスを用いる暖房需要が低迷するとの観測も価格の下落圧力になっている。
資料：BloombergよりDailyFXが作成。
WTI原油価格の見通し
WTI原油価格（1バレル）は、下落トレンドからの反転を示唆する「同時線」が示現後、上昇に転じている。ただし、RSIは50近辺で推移、MACDラインもシグナルラインを下回っており、原油価格の上昇圧力は強くない。
テクニカル面でやや強気である中、WTI原油価格は、フィボナッチリトレースメント38.2％水準74.42ドルの上方ブレイクを見込む。この水準を終値ベースで上方ブレイクした場合、原油価格の上昇トレンドが鮮明になり、フィボナッチ61.8％水準76.28ドルをトライする可能性がある。
一方、中東情勢の緊張緩和が見られ、原油の供給が安定するとの見方が強まった場合、原油価格が2月5日安値71.41ドルでサポートされるかに注目。下落局面においてもこの水準でサポートされた場合、原油価格の地合いが強まりつつあることを投資家に印象付けよう。
WTI原油価格日足チャート
資料：Trading View
NY天然ガス価格見通し
NY天然ガス価格は、MACDラインがシグナルラインを下回っており、下落の勢いが衰えていない。また、RSIは、売られ過ぎを示唆する30を上回っており、天然ガス価格に一段の下落余地がある。テクニカル面では、下落トレンドの継続を示唆している。
加えて、天然ガスの生産が増加傾向にある中、需要の増加も見込めず、天然ガス価格の更なる下落を見込む。天然ガス価格は、2023年4月14日安値1.946ドルへの下落が視野に入る。この水準でサポートされなかった場合、2020年9月21日安値1.795ドルへ下落する可能性がある。
一方、天然ガス価格が反発した局面では、9日移動平均線（MA）を上方ブレイクできるかに注目。上方ブレイクに失敗した場合、天然ガス価格の地合いが弱いことを投資家に印象付けよう。
天然ガス価格（NG1）日足チャート
資料：Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
