※2024年5月29日15時02分更新
米国最高裁の最近の判決によりコインベース（COIN）の株価はぐらついたが、直近の安値から回復し始めている。
不利な判決もコインベース株持ち直す
米国最大の暗号資産（仮想通貨）交換所であるコインベースは、ドージコイン懸賞に関する争いで仲裁を求めていた同社の主張が米最高裁により却下されたが、株価はよく持ち堪えている。3月の史上最高値から下降した後、株価は安定し、底値固めをしているようだ。
第1四半期の好業績が楽観論を後押し
コインベースの2024年第1四半期の売上高は前四半期比72％増の16億ドルという素晴らしい結果となった。暗号資産相場の上昇と暗号資産に対する会計ルールの変更による取引増加を背景に、純利益は11億8,000万ドル（1株当たり4.40ドル）を計上した。
個人投資家の取引収入は9億3,520万ドルと前四半期から倍増し、取引高は93％超増えて560億ドルとなった。機関投資家向け取引部門はさらに拡大し、売上高は133％増の8,540万ドル、取引高は2倍を超える2,560億ドルに達した。ビットコインは個人投資家と機関投資家の双方における取引量の3分の1を占めた。
仲裁紛争敗訴の影響は限定的
米連邦最高裁判所は全会一致で、仲裁を強制できないことが混乱を招くというコインベースの主張を却下する判決を下した。この紛争は2021年のドージコイン懸賞に起因するもの。ユーザーが虚偽広告を訴え、懸賞のために100ドル払わされたと主張したのに対し、
コインベースは、ユーザー契約規約が「一般的に紛争を仲裁で解決する」とされているとして、仲裁を求めた。ただ、この紛争はコインベースの中核的な暗号資産ビジネスとは直接関係はなかった。
判決は、当事者が矛盾する仲裁条項のある2つの異なる契約に拘束されている場合、仲裁人ではなく裁判所がどちらの契約が適用されるのか、紛争が仲裁に進むべきかどうかを決定しなければならないことを支持した。法律の専門家は、この判決は頻繁に起こるとは考えにくいかなり稀なケースを扱ったものであり、今後、（別のケースに）適用される範囲は限定的と見ている。
暗号資産規制を巡る判決への期待
今回の裁判は暗号資産セクターとは直接の関連性はほとんどなかったが、暗号資産業界は、暗号資産企業と米規制当局との間で進行中の管轄権を巡る法廷紛争を解決し得る最高裁判決を切望している。しかし、そのような裁判は高裁に到達するまでに何年もかかる可能性がある。
コインベースは今回敗訴したものの、好調な業績と最高裁判決の影響が限定的だったことが投資家の信頼を支え、株価の回復にも反映されているようだ。
アナリストの投資判断は「買い」と「ホールド」の間
金融市場のインフラおよびデータを提供するロンドン証券取引所グループ（LSEG）によると、コインベースに対するアナリストのコンセンサス評価は「買い」と「ホールド」の間で、「強い買い」が5人、「買い」が6人、「ホールド」が14人、「売り」が2人となっている。長期的な予想目標株価は、現在の水準（2024年5月28日時点）より約8％低い130.42ドルとなっている。
資料：LSEG Data & Analytics analyst recommendations
コインベース テクニカル分析
コインベースの株価は年初来で50％超上昇し、4月下旬の高値239.00ドルを試そうとしている。これを上回れば、5月の底入れ形成が確認され、3月の高値283.48ドルが再び視野に入ってくる。さらに上昇すると、小型の心理的水準300.00ドルが控えている。
コインベース株価 日足チャート
資料：TradingView
この強気な見方は、現在の5月の安値194.93ドルを下回るような予想外の弱気な反転がない限りは維持されるだろう。
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